第61話魔物たちのたくらみ
「本当に、魔力を食べているんだ……私は全然何も感じないのに……」
「そりゃそうよ。アメリアは魔力が多すぎていつも飽和状態なんだから。アタシたちは普段、体の外にあふれ出した分をもらっていたけど、多すぎるからちょっと減ってもからだには全然影響ないと思うわよ」
アメリアは恩寵がないから低級な魔法しか使えないので、魔力を消費する機会がほとんどないにも関わらず、とんでもない魔力を保持している。だから体に収まりきらず常に垂れ流しているような状態だと改めて教えられ、複雑な気持ちになる。
「結局、私も他の兄姉たちも、メディオラ様の次の体になるために用意された存在だったのかな……」
メディオラを蘇らせた者が、そこまで計画して術を組み込んでいたのだろうか。
「呪術で維持している肉体が、いずれ壊れると反魂術の術者は知っていたんじゃない? 次の体を作るための術も最初から組み込まれていたってことでしょ」
ピクシーに事も無げに言い切られ、アメリアはがっくりと項垂れ何も否定できない。
自分はどうせ出来損ないで要らない子扱いだったから、駒でしかなかったと言われても今更傷つかないが、メディオラの恩寵を受け継いだことを誇りに思っていた兄姉たちは、ただの生贄だったと知ったらどれほど傷つくだろう。
「兄さんたちになんて説明したらいいかな……」
魔法陣の上に並べられた兄姉たちはまだ意識もうろうとしていて正気を取り戻す様子はない。薬が切れた時、この半壊した屋敷と執事の死体と母の不在をどう説明したらいいか全く分からない。
事実を言ったところで、アメリアの言葉を兄姉たちが信じるとも思えない。
「別に説明してやる義理もないでしょ。状況と残された魔法書とか見て自分たちで解決すればいいよ。馬鹿じゃなきゃ、だいたい何が起きたか理解するでしょ」
だからほっときなよとケット・シーが言い捨てる。
そんなんでいいのだろうかと苦笑が漏れるが、確かに冷静に考えれば母が出したお茶に薬が盛られていたと気付くだろうから、そこから魔法陣を含め何が起きたか大体想像がつくだろう。
「下手するとアメリアが悪者にされかねないから、逃げたほうがいいだろ。派手に暴れたし、他の家の魔女たちが押しかけてくる前に脱出しよう」
「あ、でも、絶縁した時の契約書がまだ……」
「さっきサラマンダーが書庫をまるごと燃やしてきたから、契約も切れたと思うよ」
「いつの間に!?」
驚いて燃やした張本人を振り返ると、いい笑顔で親指を立てて応じられた。
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