第62話逃げるが勝ち
アメリアと離れて魔物たちが別の場所に連れていかれた時、途中で姿をくらませてそれぞれ行動していたらしい。
契約書の類が保管されていそうな書庫を見つけたら、最初から丸ごと燃やすつもりだったと知らされ、なんだか話を聞くほどに、魔物たちが先手先手で動いているような気がしてきてしまう。
メディオラの計画など、皆知らなかったはずなのに、どうしてこんな前もって色々動けたのか不思議でならないと、ずっと疑問に思っていたことを彼らにぶつける。
「ねえ……皆、メディオラ様の計画とか事前に知っていたの? いつから死人狩りを呼び出す算段を立てていたの?」
恐る恐る訊ねてみると、ケット・シーが胸を張って答えた。
「アメリアには内緒にしていたけど、アメリアが死んで別人となって蘇る予知が見えていたんだよ。だからそこから予想して、皆でそれを阻止する計画を立てていたの」
アメリアの使い魔として契約している彼らは、離れていてもお互いの意思疎通が可能であるから、刻々と変化する未来予知を共有しつつ対策を練っていた。
メディオラが反魂術によって蘇った人間だと知った時点で、死人狩りを呼び出すことをヘルハウンドが提案してきた。
「黄泉の扉を呼び出すには生贄が必要なので、アメリアさんの兄姉のどれかを使って僕が死人狩り召喚の術者になろうとしたんですが……」
「アタシが執事を殺したから、それを生贄に使ったのよ」
嫌な兄姉だとしても、生贄に使われたとアメリアが知ったら罪悪感を抱くかもしれないから、できれば殺さないほうがいいとピクシーが提案したらしい。
「そ、それは……確かに。気遣ってくれてありがとう……」
死ぬか生きるかの瀬戸際だったのに、そこまで考えてくれたことに感動を覚える。確かに兄姉の誰かが生贄になっていたらやはり彼らを犠牲にして自分だけが助かったことに罪悪感を抱くだろう。
生贄にされた執事には悪いが、彼はメディオラの計画を知っていてそれに加担していたのだから仕方がないと言ってもいいだろう。
そのうち、居室の外がざわざわと騒がしくなってきた。
儀式のために屋敷からは人払いをしていたのだろうが、破壊音やら叫び声やら聞こえてきて集落の人たちが駆けつけてきたようだ。
「踏み込まれる前に逃げるわよ。アメリア、動ける?」
「大丈夫。姿くらましの魔法、私でも短い時間だけなら使えるから、急いで村を出よう」
アメリアが姿くらましの魔法をかけ、全員でサラマンダーの背に乗る。魔法はせいぜい五分程度しかもたないけれど、空から一気に逃げれば村を抜けられる。
部屋は半壊状態で、壁が空いているところからサラマンダーが一気に飛翔すると、数秒後に誰かが踏み込んでくる様子が後ろのほうで見えた。
姿くらましはちゃんと機能しているようで、誰もこちらに気が付く様子はない。
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