第47話呪詛


「そうではないの。調べていくうちにね、私の体の中には呪詛がびっしりとはびこっているのが分かったの。それは呪いをかけられたというわけではなく、私の体『そのもの』が呪術によって生命活動を維持している……とでも言えばいいのかしら」


「え、ど、どういう意味でしょうか?」


 話が理解できずに姉たちから戸惑いの声があがる。


「つまりね、私そのものが呪いでできていたのよ。それを知って、ようやくこの不調の原因が分かったわ。歳を重ねていくうちに呪詛にほころびができてきて、体を維持できなくなってきているの」

「じゅ、呪詛……?」


 メディオラが話した内容に皆茫然としている。

呪詛? 

呪術? 

体を維持できなくなっている? 


「そんなの、それじゃ、まるで……」


それではまるで、歩く死体ではないか、と誰かがつぶやく声が聞こえた。

けれどすぐ、そんなわけがない! と、馬鹿な発言をした者を長兄のモノリスが怒鳴り飛ばした。

いくらなんでも死者と生者の区別がつかないわけがない。


「ちょっとお待ちください。母上は……つまり、本来なら死んでいたような大怪我か大病に見舞われて、その時命をつなぎとめるのに呪術を使われた、ということでしょうか? その効力が切れかけて……命の危機を迎えている、と……?」


 モノリスが得られた情報から推論を述べると、それまで固まっていた皆が納得したように大きく頷いた。それであればメディオラの話とつじつまが合う。

 だが死にかけている人間の命をつなぎとめるような魔法は魔女界には存在しない。もしモノリスの予想通りなら、メディオラは禁忌の呪法を用いたということになる。


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