第185話 ウィンターカップ①

 俺達はウィンターカップに出場するため、大会会場に来た。

 因みに宿だが、結構お高そうなホテルだ。後で知ったが深川さんのトコの系列だと言う。実は意外と深川さんと言うか、深川グループは学園と裏で繋がっているようだ。


 これから始まるウィンターカップだが。出場校は全部で60校だ。男女併せると120校になる。

 都道府県の優勝校は47校じゃ無いのかって?

 その辺の細かい事をここで記すと長くなるので、詳しくはどっかのHPを読んで欲しい。

 60校の内訳がしっかり説明されている。


 間もなく開会式が始まる。

 会場入りの前に、出場校各十五名ずつロビーやエントランスで待っている。しかし、凄い人の数だ。単純計算で千八百人。酸欠になるって!

 これだけ人が集まれば当然、色んな会話が聞こえてくる。


「おい、あそこ見てみろよ。あそこにいる二人、イケメンと美少女のレベル超えてるぞ」

「うわー……ん? その近くにもレベルの高いイケメンと美少女いるな……」

「同じジャージ……学校一緒か」

「容姿でもう負けた気分だ……」

「さすが全国大会。レベルが違うな」

「なんだろう……この敗北感」

「あ、四人でなんか話ししてる。4人集まるとまた凄いオーラだ」

「あっ、こっち見た」

「…………」(←見惚れ中)


 周りでは、俺達を見て色々話しているようだ。


「おう、流星。それに真壁君」


 ん? 聞いたことがある特徴的な声だな。

 声のする方を振り向くと、そこにはブッチと真名さんが立っていた。勿論、真名さんはブッチにベッタリくっついている。


「流)よ! お久しぶり」

「ブ)今回も来たね。真壁君も久しぶり。やっぱり復活したか……」

「宗)やっぱりって予想してたのか?」

「ブ)まぁね」

「流)新山と野々白工業、準々決勝であたるな」

「ブ)しかし、お前らの注目の浴び方……全中の時の清麗中宗介の母校思い出したよ。しかも流星と彼女達が加わって余計に目を引くな」

「宗)ははは……あんまり思い出したくないな」


 お互いチームの元へ戻ると、当然「あれ誰?」という話になる訳だが、向こうも同じ事を聞かれているようだ。こっちをチラチラ見ている。


「あいつは、中学の時のチームメイトです」

「お互い順当に勝てば準々決勝で当たります」

「強いのか?」

「癖が強い……ですね」



 ※  ※  ※



 開会式も終わり早速試合が始まるが、大会初日の今日は女子の試合がある。

 俺達の初戦は大会二日目だ。

 男子は会場の雰囲気に慣れるのと女子部の応援で二階席で観戦していた。

 翠はスタメン出場だ。

 ゴーグルのお陰で其れ程の騒ぎにはならなかったが、プレーで大いに目立っていた。


「何7番のクロスオーバーからのドライブ」

「早い! いや、速い!」

「シュートもミドルレンジからは絶対外さないし……」

「それとあの6番芹葉。スリーの精度も凄いじゃん」


 会場中が新川学園に注目していた。


「桜木滅茶苦茶調子良くないか?」

「あぁ。普段と動き違うな」

「ありゃ今までの練習試合、手ぇ抜いてたな」

「いや、調整だろ。やっぱ照準はここでピークじゃないと」

「うぉっ! フックもあるのか」

「ミドルレンジ得意って言ってたけど、インサイドも突破力あるからソコソコ行けるな」


 そして試合は終了し、トリプルスコアと大勝で新山女子バスケットボール部の快進撃の幕は上がった。

 俺達はエントランスで彼女達合流した。


「お疲れさん。大勝だったな」

「うん。体が軽い」

「先ずはゆっくり休みだな」


 そしてこの後、既に連絡済みの他の学校の体育館を借りて、軽く練習をしてホテルに戻って就寝だ。勿論食事は摂ってるし風呂も入ってる。

 

 

 ※  ※  ※



 ——— 翌日。今日はお昼過ぎ頃に男子の初戦がある。


「昨日話したとおり、相手は全国大会常連校の赤木商業だ。攻守バランスが取れたチームだな。目立った選手もいない、チーム力重視のチームだ」

「なる程。うちのディフェンスは?」

「序盤2-3ゾーンで様子見だな」



 ※  ※  ※



 私は今、二階観客席で試合を観戦している。

 試合は既に第4クォーターに突入した。


 会場に居る者全てが信じられないといった表情で新川の試合を見ていた。

 点差は…「123対43」で新川が大差で勝っていた


7番宗介だけマンツーで2-2ゾーン!」

「7番チェック遅い!」

「ダメだ速い! クソォッ!」

「4番のパスも読めねー!」

「クソッ! まるで4番率いる四人のチームと、7番単独の2チーム同時に戦ってるみたいだ!」


 コート内では、赤木商業が混乱している。

 終始、自分たちのプレーをさせて貰えていないのだ。

 宗介は、外から中からと得点を重ねていく。

 柳井君も、チーム全員を使って、赤井商業のディフェンスを切り崩していく。


 ——— “ガシャンッ!„


「おおおおおおぉぉぉぉぉぉ——————!」


 ダンクだ。

 カウンターで走り込んだ宗介がフリースローラインを一歩超えたあたりから飛んでダンクを決めた。

 会場中が湧くと共に響めきが走った。


「あいつ、今、空飛んだぞ!」

「7番何者だ?」

「真壁宗介? 2年だってよ。」

「スゲー! ダークホース登場じゃん!」

「また決めたぞ! 今度はスリーかよ」

「中から外からとんでもねー!」


 新山は一回戦を「153対48」と、トリプルスコアで勝利した。

 そして、新山学園は、男女共に、本大会台風の目として一気に注目を浴びる事になる。

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