第183話 学園祭 その2⑨
——— 教室の前は、既に校内の生徒の行列が出来ていた。
来羅は、このままでは一般客へカレーが提供出来ないと思って、既に並んでいる生徒にお願いした。
「今並んでいる皆、御免なさい。このままだと、外から来たお客さんに出すカレーが無くなっちゃうの。だから、ウチのクラスは、校内の生徒は遠慮して貰いたいの。ごめんネ♡」
最後に『♡』が出た。来羅らしく無いがそれなりの効果……
そうすると、不満そうな声が上りつつも、何人かは立ち去ってくれた。
さすが来羅、学校一、二の美少女だ。
でも、まだ残っている人がいる。そこで私からもお願いした。
「本当に御免なさい。今日、私の両親も来るんです。このままだと、折角来たのにがっかりさせちゃうから…なので、お願い…ネ♡」
って、最後、来羅と同じく、ちょっと可愛らしく「ネ」を言ったら、みんな素直に立ち去ってくれた。
その後、『生徒NG』プラカードを作って、生徒が一人張り付いていた。
すると ———
「来たよー」
「あ、いらっしゃい」
「翠ちゃん、こんにちは。可愛らしい衣装」
「こんにちは。うん。ありがとう」
「宗介君も素敵よぉ」
「あはは、ここではあんまり言わないで欲しいかな」
「そうそう、ミスコングランプリおめでとう。って当然よね。やっぱり血は争えないわね」
「あはは」
芹葉と来羅が私のところに来た。
「翠のご両親?」
「そ、で、こっちが宗介のご両親」
そう言うと、なんか、驚いたような納得したような表情になった。
芹葉と来羅は私達の両親に挨拶をして席へ案内した。ここは私がオーダーを伺い厨房(準備室)に戻る。
「お二人のご両親も凄いね……イケオジと美魔女……シスターズのご両親でもあるんだよね?」
「完全にサラブレッドじゃん! ハァー……私の親もこんなんだったらな……」
今まで『ツインズ』と言われていた妹達は私達の妹達と分かったので『シスターズ』に呼び名が変わった。
両親食べ終わって店を出た頃、無事完売になり店終いとなった。
※ ※ ※
今日は両親が来る。って事で、私と藍は教室の前で待っていた。
すると、予期せぬ出来事って言うの? 私達的にはトラブルが発生した。
なんと! ウチらの両親達が、翔馬と廉斗君に普通に話し掛けているではないか! しかも私達の目の前で!
挙げ句の果てに、お父さんこっち向いて手招きしないで!
私と藍は慌てて皆の所に駆け寄った。
「ちょっと何してんの!」
「え? ご挨拶だよ。将来の旦「ワーワーワー」
私はお父さんの言葉を遮った。何を言わんとしているかはすぐ分かった。
「ちょっと、学校では内緒にしてんだからダメだって」
「ははは、ゴメンゴメン」
「挨拶自体ヤバいのに……もう。中、案内するからこっち来て」
私と藍は私達のクラスの案内をした。
※ ※ ※
——— さっきは滅茶苦茶焦った。両親を見送って、私は教室で六花と椅子に座って展示物の番をしていた。ウチのクラスがなんの展示をしてるかは割愛。大したものでは無い。
「さっき案内してたの、シスターズのご両親?」
「うん」
「お父さんメッチャカッコいいしお母さん綺麗だし……お兄さんといいお姉さんといい……兄妹の存在にもビックリしたけど、まさか幻の二人とは……あんたら家族凄いよ」
「行く先々でジロジロ見られてあんまりいい思いしないんだけどね」
「そっか、そういう悩みもあるか……で、さっきアレに話し掛けてんの見た時笑っちゃったけど」
「ったく油断したよ。まさか声掛けるなんて思わないじゃん」
「普通に『いつも娘がお邪魔してて悪いね』なんて言ってたよ」
「えー! 誰にも聞かれて無いでしょうね⁉︎」
「分かんない。でもホントに親公認なんだ」
「うん。家族からすれば……っていうか私もだけど恩人でしかないもん」
「そうだよね……でさ、さっきからこっち見てる他校のイケメンいるんだけど……知り合い?」
「…………一応」
教室の片隅に二人の男子が私を見ていた。
『東堂万里』あと、いつも後ろで気取ってる……名前は忘れた。でもいつも思うけどこの人、ちょっと憎めない。
私が気付くとこっちに歩み寄って来た。
「お久しぶりです」
「……はい……久しぶり……です」
「来年から通う学校だから下見に来てきたんだけど……教室に入ったら偶々君がいて声掛けたって訳」
「そうなんだ」
六花は東堂万里の顔を見て、私の顔を見る。
「で、誰?」
「自称、翔馬のライバル。テニスの大会で知り合った人。ついでに私の名前は教えてない」
「分かった」
六花はそう言うと椅子から立ち上がり、東堂万里の前に立って「ではご案内します」と教室内を案内しようと振る舞う。
東堂万里は抵抗して私と話をしようとする。
「僕は今、彼女の「あら? 彼女の案内じゃ不服?」
私は『六花に対して失礼ね』と彼の言葉に水を差す。
「遠慮なさらずどうぞこちらへ」
「フ……そんなに照れなくてもいいのに……」
六花は抵抗する他校の男を無視して背中に手を添え私から引き離す。
取り残された相棒は、私にウィンクすると六花に一緒に着いて行った……何故ウィンク……。
すると交代の時間になり、翔馬が教室に入ってきた。
「お疲れー」
「あ、良いところに来た。ライバル来てるよ」
「ん? あー……藤村兼一郎か」
「ん? 誰それ?」
「後ろ歩いてるやつ」
「おー! そんな名前だったっけ?」
「そんな名前だ」
私達の声が聞こえたのか、彼は振り向き指二本で「ピッ!」っと敬礼しつつウィンクした。
「アイツ……なんか好きだな……」
「え? 翔馬も?」
「お前も?」
「うん。でも友達には……無理かな」
「だな」
そして私は黙って教室を出た。
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