第34話 宗介と翠のデート④
——— 妹達がナンパされていた。
「一つ言っていいか? その子達、中学生だぞ?」
「お前さぁ…… 一々嘘つかなくていいんだよ。ハッタリかましてんじゃねぇぞ!」
「なんでそんなに庇おうとしてんだ? あ?」
妹に危険が迫れば守ろうとするのは身内として当然な事だ。
俺は無性に腹が立って来た。
一つ大きく、そして深い溜め息を吐いて、威嚇も込めて
「あー……お前ら馬鹿か? お前らに嘘ついて俺に何のメリットがあんだ?」
「知るかボケ! テメェで考えろ!」
「なぁ、俺はお前に聞いてんだ。なんメリットがあんだ? あ? 言ってみろ! ほら! 俺は聞いてんだ! 早く言えっつってんだろ? なぁ? なぁ! 俺のメリットはなんだ? ああ? 人が聞いてんのになんで答えねえんだ! 幼稚園の先生に教わんなかったか? 人の話は最後までちゃんと聞きましょうってさぁ! 言えねぇなら黙って消えろ!」
俺はその男より上背がある。俺は一人の男に上から圧を掛けた。
男はその圧に押されて尻餅をつく。
※ ※ ※
——— 私はお兄ちゃんがここまで怒っているところを初めて見た。正直ちょっと怖い。
「行くぞ!」
お兄ちゃんは怒りが収まらない感じを少し残ってるせいか、私達にちょっと乱暴に声を掛けた。
掛けられた声は乱暴だけど、矛先は私達じゃ無い。
「ありがとお兄ちゃん♪ 藍ちゃんも行こ」
「はーい♪」
私はお兄ちゃんに駆け寄り、真っ先にお兄ちゃんの腕にしがみ付いた。
私の行動は『ありがとう』という意味より、気持ちを
そして藍ちゃんもお兄ちゃんの腕にしがみ付こうとしているオーラをビンビン出している。
彼女は下心だけで抱きつこうとしていた。
私は藍ちゃんを目で牽制する。
『牽制』なんて格好良い単語使うけど、要は睨んだんだ。藍ちゃんは『あはは……』って諦めて、翠さんの腕を取り、男達に向かって一言言い放つ。
「じゃあね、芋っぽいお兄さん」
何故煽る? 翠さんも『藍、煽んないで』と叱るが、ナンパ男の一人が藍ちゃんの一言でスイッチが入ってしまった。
「このやろ、可愛いからっていい気なってんじゃねえ!」
男は立ち上がり、藍ちゃんに殴りかかろうとしたのか、急に襲ってきた。
※ ※ ※
——— 男が殴りかかって来た。
その時、奈々菜は俺の腕にしがみついていたが、その腕を素早く、そして優しく外して男の懐に入った。
俺の顔は、殴りかかって来た男の目の前にある。
男は当然突然現れた俺の顔に驚く。
ついでに俺の右手の拳は男の
この男の後ろにいるもう一人の男は狐に摘まれたような顔をしていた。
どうやら俺の動きが見えなかったようだ。
俺の怒りはまだ収まっていない。さっきのトーンで殴り掛かって来た男の耳元で刺さるように囁く。
「おい芋。
「…………」
翠さんも奈々菜も藍ちゃんも、そしてもう一人の男も何が起きているのか良く分かっていない。
そして俺は身なり整え皆の元へ戻る。
「じゃ、行こう」
「はーい」
俺達は四人でスポーツ店に行き、ヨガマットを買った。
「お兄ちゃん、何買っての」
「ヨガマット」
「宗介さんもやんの?」
「あぁ、お姉さんのススメでな。雨の日ジョギング出来ない代わりにやろうって」
「藍ちゃんやってんの?」
「うん。お母さんやってて真似してやってた」
「お兄ちゃん私も欲しい。買って♡」
「まぁ、害のあるもんじゃ無いからいいぞ」
「お母さんにも買ってこうよ」
「うちのお母さんやってるって言えば、一緒にやるんじゃ無い?」
「だな。んじゃ三つ買うか」
結構な荷物だ。
俺達四人はモールを出て、マンションに向かった。
「お兄ちゃんありがと」
「お前らもそんな可愛い格好してたら声掛けられるのも当たり前だろ?」
「逆。中途半端な方が『同じレベル』って思われて声掛けられまくっちゃう」
「そうなのか? って、自分ら周りとレベル違うって認識はあるんだ?」
「そりゃ普段、学校とかでの皆の反応見ればね」
と、奈々菜は藍ちゃんを見て微笑む。
「流石の天然系藍ちゃんも気付きますわよ♪」
「何その話し方。それに天然系って学校じゃそんなキャラになってんの?」
「んーん、奈々菜ちゃんに比べると天然ぽく見えるみたい」
「んー……なるほど……」
翠さんは奈々菜と藍ちゃんを交互に見る。確かに奈々菜はしっかりしている。し過ぎていると言っても過言では無い。それに比べると藍ちゃんは天然っぽく見えなくも無い感じだ。
「で、お姉ちゃん達はデートどうだったの?」
「ん? 普通に楽しかったよ。パフェ食ったし」
「え? パフェ? いいなぁ〜。何? 宗介さんに『アーン』してあげた?」
「しないよそんな……されかけたけど……」
「えー! お兄ちゃん翠さんに何やってんの!」
「あー、
「え? 奈々菜ちゃんは宗介さんに『アーン』して貰ってるの?」
「……して貰ってますけどそれが何か? それにしてあげるし普通でしょ? 兄妹なんだもん」
奈々菜は勝ち誇ったように答える。勝ち誇る必要があるのか分からんが、翠さんと藍ちゃんは「負けた」って顔をしている。
「えー、なんか羨ましい……」
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