第73話 奈々菜と藍の〇〇〇その3⑥
——— 俺はスマートフォンで奈々菜から位置情報を貰い、その場へ駆け込んだ。
すると、奈々菜と藍ちゃんは寄り添って、地面に座り込んでいた。その向こうで男が四人、中学生らしき男二人を羽交締めにし、一方的な暴力を奮っていた。
「翔馬ぁ……グズッ……翔馬ぁ……」
奈々菜は涙と鼻水で顔がグシャグシャだ。
藍ちゃんは奈々菜に抱きつき涙こそ見せないが、男が殴られるたびに顔を歪ませていた。
「翠、ゴムある?」
「はい……気を付けて」
俺は邪魔な髪をゴムで結えながら男達に近付く。
「あー、ちょっといいか?」
「何だおめ……え……」
男達は俺に気付き、俺の顔を見るなり惚けた表情になった。
「あそこにいる子、俺の妹なんだわ」
俺はそう言って一人の男に歩み寄りそして見下ろす。俺の方が身長が若干デカい。
「あぁ? なんだおmガァッ!」
俺は男が話し終わる前に殴った。
腰を入れ、下から顎に向けて拳を振り上げた。
腰が入った俺の一撃は男を少し宙に浮かせた。
男はそのまま地面に倒れ動かなくなった。
俺は男の髪の毛を鷲掴みにして立ち上がらせようとするが……何だ? 白目剥いてんな。
俺はお構いなしにそのまま自分の顔の高さまで引っ張り上げた。勿論俺は立っている。ブチブチ音がしたが……まぁ、禿げる事は無いだろう。
「俺がまだ話してる途中だろ? 人の話は最後まで聞けって幼稚園の先生に言われなかったか?」
男は意識が既に無く力なくぶら下がる。俺は男の髪を離した。
男は人形のように『グシャッ』っと地面に落ちた。頭を打ったみたいだが……ま、大丈夫だろう。
※ ※ ※
俺と廉斗は何が起きたか分かっていなかった。
ただ、突然現れた『キング・オブ・イケメン』が俺達の味方である事は直ぐに分かった。
しかし何だこの人……『カッコいい』の次元じゃねぇ……。
イケメンは男の一人を簡単に伸してしまった。
すると奈々菜が「お兄ちゃん」と口走っている。
——— はい? お兄……ちゃん? 奈々菜のお兄……様? なのか? この人が以前話してたお兄さんだって言うのか?
俺は以前、奈々菜が思わず口にした兄の存在を思い出した。正直今まで忘れていた。
俺は体に走る激痛の中、そのお兄さんに魅入っていた。
※ ※ ※
俺は男を一人伸すと違う男に近付いた。
そして二人目の男の前に立った。
俺はちゃんと人の話を聞く男だ。なので目の前の男に話を聞いた。
「妹に何した? ん?」
「あぁ? 何なんだオメェ ”バン„ ハガァ!」
俺は問答無用で平手で殴りつけた。
何故なら、コイツは俺の質問に答えなかった。
要は話を全く聞いていないからだ。
男は膝から崩れ落ちかけたが、今度は倒れないように胸ぐらを掴んで支えてやった。
「さっき俺言ったの聞いてなかったか? 最後まで話聞けって言ったろ? いいから俺の質問に答えろ。妹に何した? ——— “バン!„ なぁ、何したって聞いてんだ! ——— “バン!„ 俺が聞いてんだ答えろコラ! ——— “バン!„」
俺は質問するが男は全然答えない。
なので平手で頬を叩く。
左の頬がみるみる紫色に鬱血して腫れ上がっていく。
何度
なので意識を戻そうと、渾身の力で平手打ちをする。
いや、最初から渾身の力で打っていた。
最初の一撃目で白目剥いてが……まぁ、コイツも俺の質問に答えるつもりは無いようだ。
なので俺は掴んでいた胸ぐらを離した。
男はさっきの男と同じく力無く膝から崩れ落ちた。
また地面に頭を打ちつけたようだが……血も出てないし大丈夫だろう。
すると背後から
「ふざけてんじゃねーぞゴルァ!」
と言う声がしたので振り返ると、男が一人俺に襲いかかって来ていた。
律儀だ。
黙って殴れば良いものを。
俺は回し蹴りでその男を吹き飛ばす。そして地面に倒れた男の髪を鷲掴みにして顔を近づけた。
「だから俺はさっきから聞いてんだっつーの。お前ら日本語通じてんのか? あ? Can you speak Japanese?」
「テメェーふざけてんハガァッ!」
俺は男を平手する。辺りには「バチンッ!」という大きな音が響く。
「だから何でお前ら人の話最後まで聞かねぇかな。そしてちゃんと質問に答えろよ」
コイツも白目を剥いた。ったく、鍛え方が足んねぇよ。
すると残ったもう一人男は少し離れた所に立つ翠に気付き、翠の元に勢いよく真っ直ぐ走る。
「この
「——— !」
俺は油断していた。この位置からでは翠の場所に間に合わない。
「——— しまった!」
「お姉ちゃん逃げて!」
※ ※ ※
僕は次から次へと暴漢を倒して行く見ず知らずの『超イケメン』が、真壁さん兄と知り驚いていた。
ただ、そのお兄さんが来た方に目を向けると見知らぬ女性がスマートフォンを構えて立っていた。どうやら動画を撮っているようだ。
すると、一人の男がその女性に向かって走った。僕は直感的に『やばい!』と思い、僕もその女性の元へに駆け寄ろうとするが痛みで体の自由が効かない。
「お姉ちゃん逃げて!」
突然桜木さんが叫んだ。
——— ん? え? 桜木さん……今『お姉ちゃん』って言ったよね? 桜木さんのお姉さん?
口から出た言葉に僕は驚き動きが止まってしまった。勿論翔馬も驚いている。
そしてこの直後、僕と翔馬は更に二度驚く事になる。
男は女性の髪を掴んだかと思ったら、その髪が『スルッ』と取れたのだ……ナンデ? 髪が……はいぃ?
そしてそこから現れた綺麗で可愛らしくて美しい顔に、襲い掛かった男は勿論、僕は、そして翔馬は見惚れ固まった。
※ ※ ※
私は帽子と髪を鷲掴みにされ引っ張り上げられた。当然ウィッグがスルッと外れた。その瞬間、目の前の男が見惚れ固まった。
すると宗介の叫ぶ声が聞こえた。
「翠! その男を蹴り上げろ!」
私は宗介に言われるがまま、男の股間を思いっきり蹴り上げた。
「えいっ!」
「ハグァ!」
すると男は股間を抑え、泡を吹きながら
向こうで倒れてる男の子達も自分の股間を押さえていた。宗介もなんか内股になって腰が引けてる。何で?
宗介が私の元へ来て一言謝る。
「ごめん、大丈夫か?」
「うん。宗介は?」
「大丈夫。それと、お前からのプレゼントちょっと使わせてもらう」
そう告げると、倒れている男の襟を掴んで、引きずり運び、四人を一箇所に纏めると、私がプレゼントしたパラコードブレスレットを腕から外して解き、一本のロープにして四人の手首をしっかり縛った。
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