第68話 奈々菜と藍の〇〇〇その3①
クリスマスシーズンの到来……の前に、中総体新人戦ソフトテニス県大会の結果だ。
私と藍、そして翔馬と滝沢君は優勝で幕を閉じた。
しかも、翔馬と滝沢君は圧倒的な実力差で優勝した。なんと! 県大会でも1ゲームも取られなかったのだ。何なのコイツら。
「脱帽。今年テニス始めたばっかで、なんでそこまで強くなるかなぁ」
「え? まだまだだよ。まだ真壁っちと半永久的にラリーして無いじゃん」
「あんた私を殺す気! 正直、今回の結果は凄過ぎてちょっと呆れてる。まさか、地区予選は楽勝と思ってたけど、県大会まで楽勝って……まぁ、アンタのボールコントロールとスタミナなら納得も出来るけどね」
因みに新人戦は県大会までで終わりだそうだ。
※ ※ ※
——— 視点は変わって芹葉です。
季節は
ということで、中間テストの結果は……
「また『真壁宗介』が一位か……この人一体何者?」
「うー、今回は来羅に負けたぁ!」
「彼氏なんて作って
「うるさいなぁ。来羅も彼氏作れば?」
「私は普通の男は無理」
今年は一位と二位は変わらず、三位に来羅、四位が私、深川芹葉となった。
正直、流星君に
彼氏作るのも楽じゃ無いよ……。
——— クリスマス、流星君と何しよ。
※ ※ ※
——— そして冬休みと同時に来るクリスマス。
「宗介ぇ、今日はクリスマスイブだけど、ナニする?」
「おいおい、その『ナニ』のイントネーション変えんな」
「えへへ。で、何しよ?」
「この街の名物の一つ『イルミネーションロード』見に行ってみるか?」
「おお♪ 宗介人混み大丈夫?」
「俺は我慢出来るからな。それに翠が一緒なら大丈夫。翠こそ大丈夫か?」
「なんか嬉しいこと言ってくれてんな。私も大丈夫。宗介いるしな」
「妹達にも声かけるか?」
「なんか、藍と奈々菜ちゃんは珍しく友達とクリパやるって言って出掛けたよ」
「へぇ、それは珍しい」
奈々菜と藍ちゃんは家では学校の子とは連まない。簡単に言うと、学校の子に普段着を見せた事がない。
偶然街で遇わない限り彼女達の私服を見る事は出来ないのだ。
「それじゃあ二人で行くか」
「うん、いつものデートだね♡」
※ ※ ※
「お待たせ」
「待ってないよ。今来た所」
私と藍は学校とは反対方向へ行く電車に乗り、一駅隣の駅に来ていた。
改札の外には、翔馬と滝沢君が待っていた。
二人は極々普通の中学生男子があまりオシャレを意識しいない普段そのままの格好で立っていた。
「滝沢君、今日はご招待ありがと。アホ翔馬はもう帰っていいよ」
「酷いなぁ。でも真壁っちのそういう所も好きなんだけどね」
「ホント、ウッザッ!」
「両親、日中居ないけど、姉と妹いるからちょっと邪魔かも」
「お姉さんと妹さん居るんだ。ちょっと意外」
「でも、桜木さんが僕の誘いに乗ってくれると思わなかったよ」
「うん、私的にはクリスマスってよりは『優勝祝い』って感じかな? これだったら周りに見られても違和感無いでしょ?」
そういう意味で私も今日の日をOKした。というのはちょっと建前なのかも知れない。正直、ウキウキしている自分がいた。何だろね? この感じ……。
ただ、意外というかやっぱりと言うか、翔馬は私をクリパに誘って来なかった。
コイツは私を一度も誘った事がない。些細な事でもだ。なんで?
藍は目の前の男子二人に秘密を……と言う訳ではないが、私達の『初めて』を二人に教えた。
「へへー、二人にいい事教えてあげる」
「何?」
藍は屈託ない笑顔だ。私も藍が何を話そうとしているかは分かっていた。
「実はねー、今日初めてなんだよ? 学校の子に自分の意思で私服姿見せんの」
何度か偶然街で会ったり見掛けられたりした子は居るが、こうして約束をして会うのはこの学校では私も藍も初めてだった。
その言葉を聞き、翔馬は目を丸くした。
「え? んじゃ、その服って俺達の為に……」
「不本意だけどそういう事になるわね。不本意だけどぉ!」
私は翔馬から顔を逸らす。するとすかさず藍が翔馬に顔を近付けて私にも聞こえるトーンでコッソリ伝える。
「奈々菜、着替える度に私にメッセで『これでいいかな?』って写真送ってき「藍! 黙って!」
「はーい♪ へへ」
藍の言葉に翔馬は惚けた顔で私を見た。
「何よ! TKOよ! TKO!」
「それ、ボクシングとかのテクニカルノックアウト。それを言うならTPOでしょ?」
「う、煩いな。ギ、ギャグよギャグ!」
素で間違えた。やっぱちょっと舞い上がってる? 何だろねホント……。
——— そして、四人は滝沢邸へ歩き出す。
今日の私と藍のコーデは少し大人びた感じだろうか? 中学生がちょっと背伸びして女子高生風にまとめた感じで、少し落ち着いた装い……というより、私は中綿入りのモンスターパーカーを羽織り、藍はシンプルなロングコートだ。脱げば二人共シンプルにニットのタートルネックに私はタイトのミニスカートで、藍はフレアなミニスカートだ。因みにインパン付きなので下着は見えない仕様になっている。
「二人共可愛い……っていうか、大人っぽい?」
「うん、真壁っち綺麗だね。ちょっと想像の上行ってたよ」
「なんか褒められて嬉しいんだけどムカつくってどういう事?」
どうにもこの感情がコントロール出来ない。ザワザワする。でも悪く無い。
と、藍はニヤニヤしながら私の顔を覗き込む。
「良かったね」
「な、何がよ」
「ふふふ、いいんじゃ無い」
滝沢君は私と藍のやりとりを無視して藍に話を振った。
「二人共普段着ってそんな感じなの?」
「うーん……結構ガーリー系が多いかな? もうちょっと少女感が強い服ね。今日は私達だけで合わせちゃうと、多分、滝沢君達の存在消えちゃいかね無いから、それなりに大人しめにしたつもりだったけど……似合わなかった?」
「いやいや全然似合うっていうかちょっと大人びてて気押されるっていうか……僕ももう少し筋肉つけた方が釣り合うのかなって……」
「そっち? なんで筋肉? 滝沢君いつから脳筋になった?」
「うーん……桜木さんと出会ってから?」
「何それ? 滝沢君が脳筋になったの私のせいなの? ……って、滝沢君成績結構上位だから脳筋ってわけでも無いか」
そんな話をしていたら滝沢邸に着いた。
「ここが僕の家です」
この前、翔馬の見舞いに来た時、この家の前を通っていたのだが、ここが滝沢君の家だとは思わなかったよ。
滝沢邸は、普通の標準的な家より少し大きい感じの今風の家だ。翔馬の家と同じくらいかな?
ただ、翔馬の家と違うのは、駐車場も三台分のスペースがあり、庭もそれなりに広い。
ついでに、ここから翔馬の家は近い。この先、すぐそこだ。
「立派なお家だね」
「ま、入って入って」
「「お邪魔しまーす」」
私と藍が玄関に立つと、リビングから女性が顔を出した。
明らかに滝沢君が女の子を連れてくると知って興味本位で顔を出した感じだ。
出て来た女性はそのまま
「こんにちは、いらっしゃ……え? えぇ! はぁ——————! 真壁奈々菜と桜木藍ぃ! 廉斗、あんたなんて大物釣り上げて来たぁ!」
釣り上げたって……私達は魚か?
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