第50話 お盆だから爺ちゃんちに来た②

 ——— 午後になり海水浴に来ていた。場所はいつもの『プライベートビーチ』だ。

 お盆の頃になるとこの地方の海はクラゲが出始める。なので海に入るのはちょっと躊躇いつつ、余り沖に行かない……行けないので親も安心して俺たちの事を放置している。

 

「素顔で海水浴来れると思わなかったよ」

「海水浴二回目ぇ♪」


 藍ちゃんは伸びをしながら海に向かって声を張り上げる。誰も居ないから幾ら騒いでも大丈夫だ。

 俺は荷物を置き、徐にラッシュパーカーを脱いで、骨組み式のタープを張り始めた。

 ふと、翠と藍ちゃんに目を向けると、顔を赤くしつつ目を見開いて俺の方を凝視している……何だ?

 俺はタープを張ると、レジャーシートを広く敷いて荷物を置き、そして座った。


「ビーチパラソルじゃないんだ?」

「パラソルはあんまり見ないな……二人なら丁度いいかもだけど、四人じゃ入りきんないしな」

「確かに」


 妹達も着替える。

 着替えると言っても、水着は既に着ていて、上はラッシュパーカーを羽織っているだけだ。下はショートパンツなりスカートを履いている。三人は俺の背中で俺に見えないように服を脱いだ。

 そして俺の前に現れる。


「どう? この前三人で買いに行ったやつ。似合う?」


 翠の水着は首も背中も腰も紐だ。紐を解けば即全裸。色はパステル系の緑で、翠らしい色だ。おっぱいは大きからず小さからず普通。目に優しい。

 奈々菜はチューブトップのビキニだ。中学生としては大胆だが、ここには誰もいない事を見越しての水着である。色はピンクと白のツートンカラーだ。おっぱいは絶賛成長中だ。

 そして藍ちゃんは胸元にフリルがついてるビキニだ。パンツにもお尻の部分にフリフリが付いてる。薄い青をベースとした黄色とのツートンカラーだ。おっぱいは奈々菜と同じくらいだ。


「うん。三人とも似合ってる。可愛いよ」


 女の子に『可愛い』って言葉を掛けるのはかなり照れる。お世辞でも中々口に出来ないもんだ。

 俺は何気なく翠の行動を見ていた。すると翠は徐にトートバッグから日焼け止めのオイルを取り出した。そしてオイルを手にする翠と目が合う。

 何と無く『ニヤッ』っとしているように見える。

 これ、完全に『宗介塗って♡』の流れだ。

 俺は期待した。期待以外全てを捨てた。そして翠の言葉を待つ。


「——— 藍、奈々菜ちゃん、背中にオイル塗って」

「いいよ♪」


 ——— あら……俺の期待は外れた。



 ※  ※  ※



 ——— えへへ……宗介にオイル塗って貰おうと思ったんだけどね……で、話は『翠』の視点で海に着いたところから再出発だ。


 私と藍にとって海水浴は……と言うか海そのものが馴染みの薄い場所だ。

 砂浜に着いて荷物を下ろす前に、宗介はレジャーシートを荷物が置ける程度に広げ、荷物を置くと徐にパーカーを脱いだ。

 ここに来るまで宗介はパーカーのファスナーは閉めずに全開にして歩いていた。

 当然、引き締まったボディーが顕になっていたのだが、歩いている時は、皆、同じ方向を向いている。なので宗介の事はよく見えなかった。

 そしてパーカーを脱いだ今、顕になった宗介の上半身は、色は少し白いが無駄な肉のない引き締まった上半身を惜しげもなく私達に披露している。

 披露されたからには私と藍はしっか宗介のバディーを目で堪能する。


 ——— ゴチソウサマデス♡


 腹筋は当然、目を潤すシックスパックだ。

 奈々菜ちゃんは見慣れているから平然としているが、私と藍は生のシックスパックは初めて見る。観る。魅る。魅入る。


 ——— やばい♡ 鼻血出そ♡


 私も藍も、非免疫ムッツリ肉食系だ。しっかり宗介のスチルを網膜に何枚も焼き付けた。多分かなりの時間凝視してたと思う。

 タープがセットされ、レジャーシートも敷き、私達はラッシュパーカーを脱ぐが、私は宗介の上半身にドキドキ感が否めず何とか宗介をドキドキさせてアタフタさせてやろうと思って、ちょっと色気を出して宗介を悩殺しようかとも思ったけど、下手すればただの痴女になるのでやめた。

 なので私は宗介の後ろで服を脱いだ。

 

 さて、それではどうやって宗介を慌てふためかせるか……そうだ♪

 トートバッグに日焼け止めのオイルがあったから、これを宗介に『塗って』ってお願いすれば……クックックッ♪ 私はカバンからオイルを取り出す。

 私は宗介の慌てふためく姿を思い浮かべたが……ん? ちょっと待て。オイル塗りをお願いして『いいよ』って返されたら、私、宗介に背中触られまくるの? そうなっちゃうよね? わー、それはダメだ。


「——— 藍、奈々菜ちゃん、背中にオイル塗って」

「いいよ」


 私は咄嗟に方向転換した。



 ※  ※  ※



 翠の一言にがっかりした俺はその気持ちが少し顔に出ていたらしく、藍ちゃんが翠の背中にオイルを塗りながら俺を気にかけてきた。


「宗介君、オイル、お姉ちゃんに塗りたかった?」


 俺は本心を隠せば見透かされ、そして弄られまくると思い、逆に素直に答えてスルーしようとした。


「え? そ、そんな事は……はい。塗りたかったです」

「ふふふ、素直で宜しい。それじゃあ、後で私に塗って♪」

「それはダメェ!」


 奈々菜がすかさず止めに入る。


「藍、お兄ちゃんに妹の前でエッチな事させないで!」


 奈々菜は凄い剣幕で藍ちゃんを止める。


「えー、オイル塗るのがエッチなの?」

「十分エッチでしょ! 女の子の体触りまくるなんて……しかも私の前で……最低!」

「それじゃあ私が宗介君にオイル塗ってあげよっかな♪」

「それもダメ! お兄ちゃんの背中は私が塗るの♡」

「ちぇーっ、つまんないなー」


 感情込めず拗ねたフリする藍ちゃん。そして必死の奈々菜だ。

 尤も、藍ちゃんは奈々菜と全てが瓜二つだ。俺が藍ちゃんにオイル塗ってもあんまりドキドキしない気がする。

 でも相手が翠だったら……いざ塗ろうとしたら下心100%だ。鼻の下伸ばした挙句『宗介』を堂々と目覚めさせる自信がある。

 そんな姿を妹に見せるのは流石の俺も気が引ける。いや、妹じゃなくても見せちゃダメだ。

 奈々菜が居るところでの翠へのオイル塗り塗りは諦める事にした。

 そして ———。


「宗介ここに寝て……よし! 皆で宗介埋めちゃえー!」


 定番ながら俺は砂浜に埋められた。勿論、おっぱいとか付けられ写真を撮られた。

 撮られた写真は何処に出回るわけでも無く、翠と奈々菜と藍ちゃんのスマートフォンに保存され、日の目を見る事なく寝かせられた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る