第30話 イケメン達、美少女達

 ——— 対面式だ。

 自己紹介を免れたは、二時間ほど保健室のベッドでゴロゴロしてから教室へ戻り、昼食もまた保健室に戻ってしっかり食べて、午後からの対面式にはちゃんと顔を出した。


 これから始まる対面式は高等部だけでの開催だ。中等部は午前中に終わっている。

 因みに体育館は高等部の校舎と中等部の校舎に其々に三つずつあるが、広さはそれほど程でも無く、一つの体育館の広さはバレーボール、バスケットボールのコート二面程度の広さでしか無い。

 そして、中高兼用として中高全校生徒が入れる大きな体育館が一つある。

 この体育館は中総体や高総体の大会の会場としても使われる。因みにバスケットボールのコートが六面ある。市営の体育館より広い。


 体育館には高等部の全校生徒が集まっているわけだが、席に座って式の開始を待っていると、周囲が騒ついている訳だが、周囲の様子を観察していると、どうやら学園でも容姿で目立つ人達イケメン&美少女を見てそわそわ昂ぶって昂まっているようだ。


 ここからの話は、後で噂で耳にした話だ。


 容姿で目立っている生徒は全部で六人だ。

 三年生では生徒会長(女)と風紀委員長(男)。二年生ではインテリ系なイケメンが一人。新入生では三人いる。

 劇中、二、三年生は関わる事は無いので詳しい紹介は省くが、三人の色恋事情が特殊なので簡単に紹介する。


 まず生徒会長だが、生徒会長の彼氏は体重150㎏ある学校一ふとましい男子だ。尚、付き合いは一年になるそうだ。

 彼女曰く『デブの汗は匂いがクリーン』と意味不明な事を言ってるそうで、自他共に認める所謂『デブ専』である。


 風紀委員長にも一つ下の彼女が居る。

 素朴で大人しい子らしいのだが、陰で彼女にビンタされて喜んでいるところを見た人が居るとか居ないとか。そっちの趣味があるという噂も無くは無い。


 そして二年生のインテリイケメンは彼女は居ないらしい。噂では男を見る時の目付きがエロいなどの噂もあり、同性愛者と声も聞こえるが真実は分からないままだ。


 此処からが劇中の肝になる肝心の一年生三人の紹介だ。

 この三人は後々深く関わる事になる。と言っても二年からなんだけどね。


 一人目は既にご存知「江藤来羅」だ。

 メガネを掛けた「インテリ系美少女」。

 中等部入学当初から「美少女」として注目を浴びていた。なので二、三年生は既に知っている。


 二人目は「深川芹葉」。

 彼女も上がり組で江藤さん同様、中等部入学当初から注目を浴びている。

 身長は160㎝を超え、綺麗な顔立ちとスラッとした立ち姿、そして手足の長さはモデルのと言うよりモデルである。

 因みに江藤来羅と深川芹葉は、互いに名前を呼び捨てで呼ぶ位には仲がいいようだ。


 三人目は男子生徒だ。「柳生流星やないりゅうせい」。他県からの入学だ。事情は分からないが何故かこの学校に入学してきた。

 先ず目を惹くのが高校一年でありながら190㎝はあろうかと言う大きな体だ。

 目を向けなくても身長の高さで思わず目が行く。

 目が行くと次に飛び込んでくるのが容姿だ。

 一言で「イケメン」である。女子生徒は皆彼を見てキャーキャー言っている。



 ※  ※  ※



 ——— 俺は体育館に入るや否や、一人の男に目を奪われた。

 そいつに見惚れたとかでは無い。

 見覚えがあったからだ。

 

 ——— 『柳生流星』。


 忘れもしない。中学三年の時、バスケットボール全国大会であいつの学校と対戦した。

 そして一点差で負けた。

 あの時の悔しさは未だに忘れていない。

 あいつにはかなり振り回されたもんだが……同じ学校に居るなら一緒にプレーしてみたかったが、まぁしゃあない。

 俺は当時顔を隠していなかった。

 自分で言うのもなんだが俺の顔のインパクトはピカイチだ。あいつに素顔を見せれば柳生も直ぐ思い出すであろうが、俺はそんなつもりは毛頭無かった。


 部活紹介で二、三年生が勢揃いする。当然俺はバスケ部が気になるわけだが、この学校は全国大会には何度も出ている、県内では強豪校の一つだ。

 正直入部したかったが……まぁしゃあない。



 ※  ※  ※



 ——— 対面式も終わり下校時間だ。

 俺と翠さんは既に電車から降りてマンション迄の道を歩いていた。奈々菜達は先に帰っている。


「そう言えば今日、ホームルームで自己紹介あったよな?」

「うん。あった」

「大丈夫だった?」

「ダメだった……あはは……」

「え? 発作起きたの?」

「んーん、結果発作は起きたんだけど、私の様子に気付いた子が私が自己紹介する前に保健室に連れてってくれたの」

「へぇ、間一髪だ」

「まぁ、結局連れ出される時注目浴びて発作起きちゃったんだけど、最悪は免れた感じだね。あ、今日の対面式でやたら目立ってたメガネ掛けてた女の子知らない?」

「……なんか『才女』って言葉がピッタリの?」

「そうそう。その子何だけど……なんか不自然なんだよね」

「不自然?」

「そう、不自然。暫くして教室戻ったんだけど、全然話し掛けて来ないんだよ。率先して保健室連れて行くような子だよ? 私が席に戻ったら『大丈夫?』の一言くらいはあると思うんだけど……」

「確かに一声掛けるよな……その子、上がり組と中途組の確執みたいなの持ってんじゃ無いのか?」

「そういう訳でも無いみたい。誰とでも嫌な顔せずお話ししてたし……」

「ふぅん……翠さんはそれが寂しいと?」

「んーん、どっちかって言うと……嬉しいかな? 私の事知ってて気を使って貰ってるみたいで」

「……実は知ってるとか?」

「まさか……ね……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る