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6月。体育祭も終わってやっと一息つけると思った頃、また依頼がきた。

鳥「今回の依頼は学校のPR動画作りだ。」

狸「それ裏社じゃないとなんですか?パソコン部とかあるじゃん。」

鳥「ポン、一回聞いて。」

狸「はーい…」

鳥「今回の依頼は校長から直々にきてるもので、パソコン部にも行っている。どっちが良かったかで決めるらしい。」

狸「パソコン部の方がいいに決まってんじゃん。」

猫「ひどいよね。こんちゃんも思わない?」

「対比相手がパソコン部なのは少し不利ですね。」

普段から動画系を扱っているパソコン部と裏社部では違いがありすぎる。

ただ依頼だからやらないわけにはいかない。

「ワンコ先輩パソコン使えますよね?」

犬「あぁ。ただ動画編集は管轄外だぞ。」

「ですよね…」

猫「こんちゃんは?できない?」

「できますけど…」

狸「じゃあ今回はこんちゃん中心でやろ。」

犬「了解」

猫「分かった!」

鳥「じゃ。こん、よろしくな。」

「…はい。」

正直やりたくない。

趣味程度でしかやっていないから評価されるのは怖いのだ。

犬「こん、評価されるのが嫌なタイプ?」

「そうです。」

犬「評価されたってやったって事実は変わらない。」

「ですよね…」

猫「こんちゃんさ、夢見てみれば変わるんじゃない?」

狸「確かに。夢の話絶対入ってこないよね。」

「見るだけ無駄ですから。」

狸「そうでもないよ。楽しいし。」

夢を見ることを楽しいと思えたことがない。

夢はいらないものだから。

猫「こんちゃんさ、今回の動画でどうなりたい?」

「どうなりたいって…」

なんにも考えていなかった。

動画を作ればいいだけ。そう思っていたのだ。

「なんもないです。」

狸「じゃ、決めよ。今回作る動画でどこまで評価されたいか。」

「え…」

家具のない真っ白な部屋にりんごが置いてあるのと同じくらいなにもない。

難しいしか浮かばなかった。

評価なんて好きじゃないし、自分の夢を考えることも好きじゃない。

猫「簡単なことでいいんだよ?」

「じゃあ、パソコン部に評価で勝つ。」

犬「いいんじゃね。」

狸「いいと思う。じゃあ頑張ってね。」

僕は【評価で勝つ】っていうのは夢より目標に近い気がした。

でもこれでいいのだとしたら、夢を見る事は悪いことではない気がしていた。

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