第14話 寮の朝2

朝食を食べ終えた僕は日課のランニングをするために寮の玄関で靴を履いていると後ろから水筒を持って、ヘルメットをかぶった沢井先輩がやってきた。


「おはようございます。」


僕は慌てて場所をあけて、大きな声で挨拶をしてからお辞儀をした。すると、沢井先輩は不思議そうな顔で僕を見つめた後にスタスタと食堂の方へと戻っていってしまった。


「あれ?何かまずいことでもしたのかな?」


僕は不安になってそう呟きながら沢井先輩の入っていった食堂の扉を見つめていた。すると中から声がして沢井先輩に手を引かれた岩谷先輩が出てきた。


「おはようございます。」


僕は岩谷先輩に向けて挨拶をすると手を引いていた沢井先輩が岩谷先輩の背中を押して僕の前に突き出してきた。


「えっと、佐藤くん。おはよう。」


岩谷先輩はそう言ってから沢井先輩を振り返って見つめていた。だけど、沢井先輩はそんな岩谷先輩を無視してさらに強い力で背中を押したようで、岩谷先輩が転びそうになっていた。


「あのね。壮真が怖がってるからもう少し普通の挨拶をしてあげてね。後、頭下げなくていいからね。」


岩谷先輩の言葉に僕は意味が分からず沢井先輩のことを見た。すると沢井先輩がすごい勢いで首を縦に振っていた。


「えっと、すいません。」


僕は慌てて頭を下げた。


「うわ!」


その直後岩谷先輩の悲鳴のような声が聞こえてきて、慌てて顔をあげると岩谷先輩が僕に向けて両手を突き出して倒れてきた。

僕は慌てて岩谷先輩を支えた。


「ありがとう。」


岩谷先輩は僕から離れてお礼を言ってくれた。


「それでね。佐藤くん。少しだけお話しようね。」


岩谷先輩は何とも言えない笑みを浮かべながら僕の手を握ってきた。

僕は何も言えずに頷くしかなかった。ちなみに岩谷先輩を押し飛ばした沢井先輩は全速力で階段を駆け上がって谷先輩の部屋に飛び込んでいったらしい。

何事かと慌てた谷先輩と山田先輩が食堂に降りてきて、その2人に岩谷先輩が説明をして結局3人に僕は注意されてしまった。

どうやらここは運動部の寮だけど体育会系の寮ではないらしい。そして、陸上部の上下関係はそこまで厳しいわけではないそうだ。まあ、沢井先輩を含めた数名はは完全実力主義のところがあるらしいけど。

後、沢井先輩は自転車で買い物に行くつもりで出てきていたらしい。

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