第28話 新たな能力
葵は目前の危機を回避するために全神経を集中した。その時、頭の中のイメージが爆発した。炎熱隧道は凄まじい勢いの水流に一気に満たされた。その奔流に葵と茜は身を任せるしかなかった。奔流の先にあったのは大瀑布だった。激流に翻弄された葵と茜は息も絶え絶えで川岸に流れ着いた。
「葵、一体何をイメージしたの」「突然思いついたのがナイアガラの滝だった」
「あやうく死ぬところだったわよ」「それよりあいつはどこにいった」その時、川の一番流れの速い場所から何かが空中に飛び出した。それは今まで見たことがない怪物だった。外皮は赤と緑が混ざった硬い鱗に覆われていた。細長い胴体には両側に4本の手足が突き出ていた。
そして、胴体の上には奇妙な形の3つの頭があった。その怪物は水面をまるでミズスマシのように滑らかに葵と茜に向かって突進してきた。
「茜、こんな怪物と毎日戦ってきたのか」「奴ら、もの凄くパワーアップしている」
「葵、私と背中合わせになって」葵は茜の言うとおりの体勢を取った。この訳の分からない世界では茜の言葉に従うしかなかった。茜は左手のブレスレットを外すと頭の上で回転させ始めた。ゴールドのブレスレットは驚いたことにスルスルと急激に長くなっていった。
そして、回転を早めるとゴールドからシルバーに色が変わっていった。葵の耳元ではゴーゴーと回転音が鳴り響いていた。
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