第27話 炎熱隧道

 葵と茜は暗闇の中を手探りで歩いていた。まとわりつく空気が熱かった。

「ここはいったいどこなの」しだいに暗闇に目が慣れてきた葵はトンネルの中を歩いていることに気が付いた。

「奴は私たちを抹殺するために次から次に違った魔界に誘導している」

「奴と言ったけどそれは魔界のボスのことなの」

「父親を助け出すには魔王を倒すしかない。失敗すれば全人類が滅ぶ」

「それにしてもなんて熱いんだ。焼き殺すつもりなのか」その時、先を歩いていた茜が声を上げた。足元を大きな百足が蠢いていた。茜は這い上がって来そうになった百足を靴で踏み潰した。

「うわ」葵は天井から首筋に落ちて来た百足を慌てて払い落とした。隧道の中は百足にびっしりと覆われていた。

「こいつら毒を持っている。葵、走るよ」二人は全速力で走った。足元で百足が潰れる嫌な音がした。暗闇の先に隧道の出口が見えた。

 葵と茜の不安をかきたてるように出口の先に奇妙な形をしたシルエットが浮かび上がった。

「葵、このまま進むのは嫌な予感がする。集中して」葵は自分がどんな能力を持っているのかまだ分かっていなかった。茜もその能力をはかりかねていた。

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