昔あったやばい話しよ

「昔あったやばい話でもいいよ」


昔こんなふうな人と関わったことがあって、今では考えられんけど、みたいな話が出てくるかな


「難しいなぁ

やばい話

あー重くなっちゃうからなぁ」


「え重いのでもいいよ?

次重いの投げるかって思ってたし」


「じゃあ

いじめられたことある」


あやはさんからの告白に一瞬思考が止まる。


いじめ…正直雰囲気からは予想できなかったから驚いた。


「幼い雰囲気があるから…」


「幼い笑」


いじめかぁ…どうしようかな…


「いじめかぁ…いじめられたことはないなぁ

やられたらやり返してたから」


安心して欲しい。物理的にではない。

成績が良かったから先生に信用されてたことを利用してやられたことを事実そのままに言うだけだ。いわゆる告げ口だ。


「すごいな笑

友達と喧嘩して」


「うん」


「うーんなんて言えばいいかな

うち大人しいじゃん?でさ、

その時偶然カーストの上くらいにいたの」


カースト?カーストって現実で聞くようなものなのか…いじめ、カースト、喧嘩…これはだいぶ…


「あごめん今更だけど嫌だったら話さなくていいからね」


「あじゃあ話さない!」


「じゃあ聞かない!

忘れることにする」


「ありがと笑

次しょうきさん」


次やるのね?そして話さないって選択肢作って良かった…


「んー

じゃあね

中学の時にあったことなんだけど、家に自殺マニュアルの本があって、まあ普通に面白くて知識として知ってて損しないから学校で読みたい小説が無くなった時にそれ見つけてまあカバーして学校で読んでたの。」


「うん」


「まあ仲良い人には何読んでるのって聞かれてバレるじゃん?で、ある友達がそれ読みたいから貸してって言ってきたの

まあその本親の本でさ、勝手に持ってきたやつだったからまあ普通に考えたら貸して何事もなく帰ってくるなら大丈夫だろうって思ってじゃあ汚したりしないでねって言って貸したの


ほんと、浅はかだったわぁ」


ほんと、浅はかだったよ。


「??」


「まあ何があったかと言うとね、そいつがね、カラオケで4人くらいでその本勝手に回し読みしたのよ

で、回し読みした人たちの中にまあ、病んでることで有名なやつがいて、そいつが自殺未遂を起こしましたと。

その原因は俺が貸した本を読んだからだって言ったらしい」


「つら」


「当然親にもバレるし教師にもバレるよね


まあ優等生してたからしょうきくんは悪くないと思うんだけど、みたいな感じだったからまだ良かったけどさ、ほんとに」


「ちなみにどんな内容だったの?」


「まあ、自殺の方法とその辛さ、その自殺方法の致死率、あとその自殺を行った後の死体の醜さとかマジで詳しく載ってたはず」


「うん」


「でだ、あれ読んで死ぬ気になったって言うなら未遂になるはずがないのよ。よくわからんのよね


まあ要約すると勝手に回し読みされた結果本渡した相手じゃない奴が自殺未遂して僕が怒られたって話だね


今更だし優等生してたから先生にもそんなに怒られなくて笑い話だけど、だいぶイラっとはしたね」


「笑笑」


「つぎ!」


「うーん

どゆ系がいいとかある?」


「ほんとに話したいことでいいよ

人の話聞くの好きだから」


「じゃあ、ほんとは心理カウンセラーになりたかった。」


「心理カウンセラー?」


うちの大学にも心理学部はある。実際僕も心理学部と法学部で迷って将来的に役立ちそうな方と考えて法学部を選んだたちだ。


「うん

第一志望は心理学部志望してたの

高一の時友達がめっちゃ病んでてね、まあ自殺未遂とかしてたの。

首吊りとか包丁をお腹に刺すとか」


「なるほど

多分仲良かったんだよね」


じゃなきゃそんなこと知ることない…


「うん

それで、その子みたいな人の助けになりたいなって目指したんだけど、学校落ちちゃった。」


「心理なぁ

正直な話すると心理カウンセラーって、あやはさんみたいに優しすぎる人にはよくない気がしちゃう


気に障ったらごめん」


「いやいや

それはうちも自分でも向いてないなとは思ってた笑」


「なんか、人の病んでるの見てあやはさんも病んじゃいそう」


「うん

病んだね」


「そうだよね

僕みたいにある程度割り切れて冷めてる奴ならいいんだけど、あやはさんは優しすぎるからw」


「他の友達でさ、高三の時にいじめられてた子がいたの、違うクラスだったんだけど

その子に相談された日の夜ご飯の時泣いちゃってうち向いてないなとは思った笑」


「人に寄り添えるのはいいことだけど職業には向いてないなw

でも、そうやって泣いてくれる友達がいるのって嬉しいと思うけどなぁ」


「ありがとう

しょうきさんさリスカってどう思う?」


リスカ…いや、正直あまりリスカをする思考はわからない。けど、だからといって相手の事情がわからないのに否定するのは違うと思う。


「否定も肯定もないなぁ

その人が生きるために必要でそれでも生きたいならいいと思うし

あやはさんはどう思うの?」


「否定はしないかなぁ

なんかさ、リスカは大人になったらやめるとか思春期だから

とかの言葉で終わらせる人がいるじゃん、それ見るとほんとにいらっとする

過程じゃなくて今辛いんだからって思う」


「なるほどね」


「ごめんね

こんな話して」


「全然いいよ」


リスカはやっぱり理解されづらい。何故なら相談に乗る人が大抵はリスカをしたことがなく、リスカをする理由を聞いても自分のものとして本質的に理解されづらいからだと考える。


この子は、ここまでリストカットに理解があるのは、もしかしたら…

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