最終話:決勝戦、逆襲の龍姫!
シュレイシーサーを撃破したマグナデウスチーム。
仲間達は勝利を喜ぶ中で金馬は頭を抱えていた。
「マジかよ、大阪の学校を破って奴が来る!」
自分達が戦っていた頃、因縁の相手でもある岡崎の代表である松平龍姫もまた勝ち上がっていたのであった。
「あの方、金馬さんへの執念がすさまじいですね」
シャルルが金馬の身を案じる。
「でも金ちゃん、根性ある奴は大好きなんじゃ?」
「いや、そうじゃないだろ根性の方向性が!」
カナメにツッコむ金馬。
確かに根性のある奴は好きだが、根性の使い所が違う気がする。
「でも、大会で勝ちたいってのはロボットファイトでは普通だよね?」
「マッシュの言葉は正論過ぎる」
そう、ウィンターバウトは夏の大会と並ぶビッグイベント。
出るだけでも実績になるし勝てば宣伝にもなる。
「避けられないんだから、倒すしかないよ」
カナメが溜息を吐く。
「ジンマ、こういう時こそ根性出しなさい♪」
監督であるジンファが
祖母として孫への気合注入であった。
「相手が誰であれここまで来たら倒すだけですわ♪」
「もう一回倒してわからせデース♪」
「メープルもドロシーも面白がるなよ? だが、負けてられねえな」
負けたら負けたで、相手に何をされるかわからない。
己の心身の安全の為にも、決勝戦を勝つ気になった金馬であった。
「まあ、勝ったんだし英気を養いましょう♪ 皆には、鰻でも満漢全席でもがっつり滋養の付く物食べて貰うわよ♪」
「流石オーナー、ゴチになります♪」
ジンファの言葉にカナメが喜ぶ。
「美味しい物を食べさせてくれてありがとうございます♪」
マッシュもお礼を言う。
「会長、プロ級ですものね腕前が」
「ホテルの料理よりもオーナーのごはんの方が、美味しかったデース♪」
料理と言えばとメープルとドロシーがジンファの腕前を讃える。
「良いのよ、あなた達が元気にご飯食べてるのは楽しいし♪」
「祖母ちゃんも母ちゃんも飯は美味いんだ」
「当然よ、修行したもの♪ 金馬も今夜はしっかり食べなさい♪」
豪快に笑いながらジンファが金馬の背中を叩く。
「相変わらずの女傑ぶりですわね、会長」
「オーナー、豪快デース♪」
「ジンファさんに勝てる女性って、見当がつきません」
メープルとドロシーは感心し、シャルルはたじろぐ。
「霊獣の王の一族ですもの、そう簡単に負けないわよ♪」
ジンファが高笑いする。
「まあ、今回は相手チームの訪問もなさそうだしホテルに戻ろうぜ?」
「そう言えばそうね、沖縄の子みたいだしちょっとサーターアンダーギーとか差し入れてくれるかなと期待してたんだけど?」
「いや、二度もねえよそう言う展開は」
ジンファにツッコむ金馬。
明日も頑張ろうで話を切り上げてホテルへと戻った金馬達。
高級な中華料理店と言った風情がするホテル内のレストランに集う一同。
赤い円卓を囲み、料理が出て来るのを待つ。
「うお、蟹だ~~~っ♪」
「良かったですね、金馬さん♪」
「金ちゃんの好物だもんね、蟹」
「蟹は良いよね、美味しいし」
「蟹すきに蟹刺しにプーパッポン、蟹だらけですわ~♪」
「蟹チャーハンもあります、勝利の蟹パーティーデース♪」
運ばれて来たのはどれも蟹料理であった。
「ジンマの好物の蟹尽くしよ♪ 皆もたくさん食べて明日も頑張りましょう♪」
黄色チャイナに身を包んだジンファが最後に巨大な蟹の丸焼きを運んで来る。
「「いっただっきま~~す♪」」
金馬達マグナデウスチームは、喜び勇んで蟹料理を食べだした。
翌日、決勝戦の会場は客席が満員の状態で試合の開始を待っていた。
「よっしゃ、蟹のお陰で勇気もやる気も百倍だぜ♪」
大好物の蟹をたらふく食った金馬は、やる気満々であった。
「これは勝って、ご馳走食べないと損でしょ♪」
「うん、もう負ける気がしないよ」
カナメとマッシュもコックピット内で闘志を燃やす。
「朝もジンファさんの蟹のおかゆで元気をもらいましたしね♪」
シャルルも笑顔だ。
「もう、割れないバリヤーとか作れそうデース♪」
「私達にはしっかりと勝利へのレールが敷かれておりますわ♪」
ドロシーもメープルも気力に満ちていた。
そんな金馬達が乗るマグナシャルルと対峙するのは、龍城丸であった。
天守閣を鎧に纏い、金の龍の兜を被ったスーパーロボット。
こちらも勝ち上がって来た猛者だけに、威風堂々と構えていた。
『いよいよ始まります決勝戦、夏の大会の決勝と同じ対戦カードだ!』
実況席からアナウンサーも白熱する。
試合開始の合図と共に特殊空間が形成される。
昔の日本の城下町風のステージで決戦の火ぶたが切り落とされた。
龍城丸、両肩の金の龍頭が肩から分離して両手に装着され二丁拳銃となる。
『百地忍法、弾幕バースト!』
通信から流れる声は、百地光子の物。
「マグナシャルル、緊急分離!」
「「了解!」」
初手から降り注いだのは敵の銃弾の雨。
対する金馬達は、機体を分離させて回避する。
『分離したなら、各箍撃破すれば良いだけ! まずは、弱そうな亀から!』
「シェルフィールド全開デース!」
御剣八重が操縦し、二丁拳銃でマグナタートルを狙うがバリヤーで阻まれる。
「ロコモスチーム大噴射ですわ♪」
続いてマグナロコモが煙突から大量の噴煙を、戦場全体に放出する。
「良し、再合体だ!」
金馬の号令にチームの機体が従い、再度マグナシャルルへと合体する。
「カナメ、フェニックスアローを頼むぜ!」
「お任せ♪ フェニックスアロー!」
再度合体したマグナシャルル、カナメの操作で赤い鳥型の熱線砲を召喚し発射!
龍城丸が手に持った二丁拳銃を破壊する。
『ちいっ! あっちも絡め手とか使って来たか!』
『夏とは違うのは向うも同じようですね?』
『ならば、私があの方とぶつかり合いましょう』
相手の通信が金馬達にも聞こえる。
「何か宣言してるけど金馬君、大丈夫?」
マッシュが心配そうに金馬に尋ねる。
「ああ、大将としてはビビってらんねえよ♪」
「それでこそ僕達の金馬さんです♪」
「ええ、我らがリーダーですわ♪」
「ここは一発ドカンとぶちかましデース♪」
「あちらさん、刀に手を掛けたよ?」
「よし、ヤッパにはヤッパだよな変形だ♪」
金馬達マグナデウスチームは、またも機体を分離させて相手の抜き打ちを防ぐ。
『む、またも分離? いえ、これは変形ですか!』
『ええ、そんな機能隠していたなんて!』
『姫、本気で行かないとだめだよ?』
『私は本気です、恋も勝負も』
分離後、シャルルロアが巨大な白馬型に変形しマグナファンロンと合体。
「「完成、マグナシャルルケンタウロス!」」
下半身が四つ足となり右肩はマグナウルフ、左肩はマグナフェニックス。
火左腕はマグナタートル、右腕はマグナロコモを異形の金の龍の騎士が誕生した。
「行くぜ皆、マグナセイバー顕現!」
「「コンバット、ゴー!」」
新武器のグレートソード、マグナセイバーを持ち突進するマグナシャルル。
『そのお姿も素敵ですが、負けるわけには参りません!』
「その根性だけは気に入ったぜ、龍姫♪」
西洋の大剣と巨大な日本刀が、ぶつかり合い鍔ぜり合う。
『ううっ! 押されてますよ姫様!』
『姫、根性出そう! 推しは押し倒すもんでしょ!』
『ええ、その通りです!』
マグナシャルルの推力に押し勝とうとする龍城丸。
「負けるかよ、馬脚バースト!」
マグナシャルルの前足が浮き上がり龍城丸を蹴ると同時に、爆発を起こして相手を吹き飛ばす。
「必殺、レインボーダイナミック!」
蹴りで鍔迫り合いを制したマグナシャルルが、相手のコックピットを避けつつ剣身に虹色の光纏わせ横薙ぎの一閃を振るう!
「おっと、勝ちは貰うぜ!」
龍城丸を横一文字に叩き切ると、マグナセイバーを虚空へと消し龍姫達が乗る龍城丸上半身部分をキャッチして彼女達を救う金馬。
かくして、ウィンターバウトもマグナデウスチームは制覇したのであった。
華やかな表彰式も終わり、ホテルに戻って来た金馬達の前に龍姫が待っていた。
「金馬様、その! 試合も終わりましたし、冬休みのご予定などはお決まりでしょうか!」
「おう、特に予定はないし良かったら遊ぼうぜ♪」
笑顔で龍姫に答える金馬。
「はい、是非お付き合いさせていただきます♪」
すると龍姫が一気に金馬へと飛びこんで来た。
「いや、一気に距離を詰めてくんな!」
「一緒に遊ぶ、私を受け入れてくれたと言う事ですよね?」
「あのなあ、普通に友達付き合いから始めようぜって言ってるんだよ!」
「父からは、金馬様を逃がすなと言われておりますので♪」
「いや、何だよお前の親父さんて人!」
「理解のある父親ですわ!」
金馬が気を許したとたんに攻めて来る龍姫。
仲間達は呆れながら、金馬と龍姫のやり取りを見守るのであった。
マグナデウスファイト 冬の陣・完
マグナデウスファイト 冬の陣 ムネミツ @yukinosita
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