第4話:準決勝、沖縄シーサーロボ!

 「あの愛の字のロボ、ヤバかったな」


 試合後、控室に戻り感想を漏らす金馬。

 相手も正統派スーパーロボット、勇者勇者を知ると言う試合であった。


 「あちこちのヒーローロボを知れるってのも面白いよね♪」


 カナメが缶のコーラを片手に笑う。


 「強かったけど、あの愛の字へのこだわりのほうがヤバかった」


 マッシュもコーラを飲みつつ呟く。


 「愛とは一体何なのかと考えさせられましたね、金馬さん?」

 「いや、戦いの事以外考えたくねえよシャルル?」


 シャルルの言葉に自分もコーラを飲みつつ答える金馬。


 「龍姫さんが来ちゃいますよ、金さん♪」

 「ええ、壁に耳ありといいますしね♪」

 「おっかねえ事を言うなよ! ガチで夜にトイレとか行けなくなるだろ!」


 ドロシーとメープルの言葉に焦る金馬。


 「あんたもまだまだ子供ねえ♪」

 「いや、笑い事じゃねえよ祖母ちゃん!」


 ジンファは微笑むが金馬は頭を抱えた。


 「大丈夫ですよ、僕が付き合ってあげますから♪」

 「すまねえなあ、その時は頼む」

 「一緒に暮らす仲じゃないですか♪」


 シャルルが金馬に微笑む。


 「金ちゃんとシャルル、何かやばくね?」

 「うん、何かラブの気配がする?」


 カナメとマッシュが何かを感じ取る。


 「む~~! 何やらデンジャーデース!」

 「風紀の乱れは困りますわよ?」


 ドロシーとメープルが警戒した。


 「いや、シャルルは兄弟分だからな?」

 「そうですよ、僕達は家族みたいなものですし夏美さんの方が好きです!」

 「え、マジで?」


 金馬とシャルルが否定する中、シャルルのカミングアウトに驚く金馬。

 夏美こと日高夏美とは、金馬にとっては同い年の叔母だ。


 「あらまあ♪ それは応援しないとね♪」


 ジンファが微笑む。


 「いや、友達のコイバナとかここで聞くとは思わなかった」

 「頑張れ、シャルル君」


 カナメは呆然とし、マッシュは応援する。


 「オー♪ それは素敵な事デース♪」

 「応援いたしますわ♪」


 ドロシーとメープルもシャルルの恋に肯定的であった。


 「恋か、俺も考えないとな」

 「ジンマ? お見合い写真見る?」

 「いや、そのレベルの話は重いよ!」

 「あんた、龍王の跡継ぎなんだからドラゴン娘達が狙ってるのよ」

 「何卒、そう言う話はブロックしていただけると助かりますお祖母さま」


 祖母から自分の方に話が振られて慌てる金馬であった。


 「た~~~の~~~~も~~~~!」


 外から少女の声が聞こえる。


 「ん、この声は?」

 「あら、可愛い声ね♪」

 「いや、セキュリティ!」

 「対戦相手のお礼参りかな?」

 「ロボで負けたのに、生身で勝てると思ったら大間違いデース!」

 「まあまあ皆sん、ここは穏便に素手で参りましょう♪」


 臨戦態体勢に入ろうとする仲間達。


 「皆さん、待って下さい!」


 シャルルが仲間達を止める。


 「仕方ねえ、どちら様ですか?」


 金馬が立ち上がりドアへと向かう。


 「失礼いたします、私はアイゼンオーのパイロットの雪若心地と申します!」

 「試合後だから大丈夫かな? 今開けますよ」


 金馬がドアを開けると、武士と言う感じの美少女が両肩に米袋を合計六個担いで立っていた。


 「いや、あんた無茶すんな! 受け取るから片方寄こせ!」

 「大丈夫ですが、どうぞ」


 少女から米袋を半分受けとる。

 美少女は桃太郎のような城の陣羽織の下に青い着物に黒袴で白足袋だった。


 「ちょ、金ちゃん? え、何でそこの人お米もってるの?」

 「受け取りましょう、カナメさん!」


 カナメとシャルルも来て米を受け取る。


 「あらまあ♪ ご丁寧に♪」

 

 心地さんを通してお茶を出す。

 試合後なら、選手との交流は自己責任で良いらしいと確認しての行動だ。


 「どうも、皆さんは私とアイゼンオーに勝ったので六個お配りです」

 「えっと、対戦相手に米を配ってるのか?」

 「はい、負けた方には三袋お配りしてしっかり食べて出直してくれと」

 「いや、嫌味なのか励ましなのかよくわからんわ!」


 心地さんに金馬がツッコむ。


 「戦いながらも山形米のPRです♪ 私、山形のお米大使でもあるので!」


 胸を張る心地さんに金馬達は感心した。


 「まあ、ありがたくいただきます」

 「是非、そして山形に観光に来て下さい♪」

 「いや、ご当地ヒーローの鑑だなあんた!」


 試合の時の如く山形への愛を繰り出す心地さん。

 彼女に呆気に取られた金馬達であった。

 こちらからもお土産に、台湾ケーキを贈呈してお帰りいただく。


 「やべえ、相手の試合のデータとか見てねえ!」

 「沖縄の方のロボットだそうですわ」


 翌日、マグナシャルルの中で焦る金馬。

 メープルが軽く対戦相手について語る。


 「でたとこ勝負デース♪」

 「大丈夫ですよ、僕達なら勝てます♪」


 ドロシーとシャルルは笑顔だった。


 「そうそう、笑う門には福来るだよ金ちゃん♪」

 「貰ったお米のチャーハン、美味しかった♪」


 カナメとマッシュも心にゆとりが出来ていた。


 「仕方ねえ! コンバット、ゴー!」


 金馬達のマグナシャルルは、オレンジ色のシーサーロボと向き合う。


 『いよいよ準決勝、第一試合はマグナシャルル対シュレイシーサーです!』


 外部通信により、実況席の叫びが聞こえる。

 スーツ姿に眼鏡の礼儀正しそうな男性アナウンサーが大興奮だ。


 対戦相手が合掌で礼をして来たので金馬達も機体を操り返礼。

 同時に試合開始の合図が鳴り響き空間が変化して行った。


 『さあ♪ 元気よく正々堂々試合するさ~♪』


 相手の機体から元気のいい少女の声が聞こえた。


 「今回は浜辺か? んでBGMが沖縄民謡?」

 「金馬さん、何だか相手の方が踊られてますね?」

 「カチャーシーデース♪」

 「何気にバランスよく踊れてるって、すごい技術ですわ!」

 「いや、仕掛けなくて良いの?」

 「こういう時に仕掛けるとカウンターが怖いよ?」


 相手のロボのバランサーとパイロットの腕に感心しつつ構えるマグナシャルル。


 『な! つい踊ってしまったさ~! 気を取り直して、三段突きさ~っ!』

 「やべえ、シェルフィールド展開!」


 瞬時に間合いを詰めて殴って来るシュレイシーサー。

 対するマグナシャルルは間一髪でバリヤーを展開するも一撃愛で割られ、二連撃を喰らってしまう!


 「ぐおっ! 結構効くな、世の中広いぜ」

 「感心してないで反撃ですわ!」

 「わかってるよ、マグナフランマ!」

 『こっちも飛ばすさ~♪ シーサーヤーチュー!』


 マグナシャルルの胸部の龍頭から放たれた火炎弾。

 シュレイシーサーも胴体の獅子頭から火炎弾を発射。

 その結果、双方がぶつかり合い大爆発を起こす。


 『あが~~~っ! そっちも中々やるさ~♪』

 「お次はテールランスホイップだ!」


 マグナシャルルがナイトランスを振るい穂先を鞭に変えて打ちかかる。


 『シーサーヌンチャク!』


 相手もヌンチャク型の武器を出し、マグナシャルルの攻撃を突き返す。

 一進一退の攻防が続く。


 「勘が鋭いね、相手のパイロット」

 「マッシュの言ったとおり、カウンター得意な相手だったわ」


 マッシュが呟きカナメが感心する。


 「こちらも拳法で行きましょう、金馬さん!」

 「おう、龍人拳法見せてやるぜ♪ マグナナックル!」


 マグナシャルルが突進し、中段突きを放つ。

 ヒットはするが、相手の両腕のガードでダメージが減少される。


 『お返しの、山突きさ~っ!』

 「全員耐衝撃防御、耐えてからやり返す!」

 「「了解!」」


 シュレイシーサーが繰り出した、左右の拳を胴と頭部を狙い繰り出す山突きと言うパンチを受けるマグナシャルル。


 機内に衝撃と揺れが襲い来るも、金馬達は踏ん張る。


 「捕まえたぜマグナトルネード!」


 マグナシャルル、攻撃を受けた際にシュレイシーサーの両手を掴んでおり上空へと投げ飛ばした。


 「今だ、ターゲットロック! レインボーキック!」


 空に打ち上げらrたシュレイシーサーを狙い虹色の光の昇り龍となったマグナシャルルの必殺キックが炸裂した。


 『あが~~~っ!』


 シュレイシーサーの頭部だけが飛び出してパイロットが脱出。

 その他の部分は木っ端微塵に粉砕して、マグナシャルルは準決勝の勝利を収めたのであった。

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