幸の日

幸の日



素足を冬の海へと投げ入れた


白い吐息が宙へ淡く溶けてゆく

ぱしゃ、ぱしゃり、音を立てて冷ややかな水のなかを歩く

街中で流れる軽快なクリスマスソングが耳に届いて、何だか楽しくなった

凍てつくような空気が心脈を速くさせる


はやく、はやく


「春がきたらいいのに」


瞼を伏せる。霞がかった曇空、桜の花弁を浮かべれば、頬に冷ややかな感触


上を見上げれば真っ白いふわふわとしたものが降ってきた


掌を広げて思わず拾えば、温い体温で溶けてゆく雪


クリスマスの喧騒

漣の音

静謐


「嗚呼、今日も殊更寒い」


いつの日か、あの子から貰ったマフラーに顔を埋めるとぱしゃり、と浜辺へと踵を返した

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