幸の日
幸の日
素足を冬の海へと投げ入れた
白い吐息が宙へ淡く溶けてゆく
ぱしゃ、ぱしゃり、音を立てて冷ややかな水のなかを歩く
街中で流れる軽快なクリスマスソングが耳に届いて、何だか楽しくなった
凍てつくような空気が心脈を速くさせる
はやく、はやく
「春がきたらいいのに」
瞼を伏せる。霞がかった曇空、桜の花弁を浮かべれば、頬に冷ややかな感触
上を見上げれば真っ白いふわふわとしたものが降ってきた
掌を広げて思わず拾えば、温い体温で溶けてゆく雪
クリスマスの喧騒
漣の音
静謐
「嗚呼、今日も殊更寒い」
いつの日か、あの子から貰ったマフラーに顔を埋めるとぱしゃり、と浜辺へと踵を返した
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます