第2話 着いた先で
途中休憩を挟みながらの予定だったが、思ったよりも速かったので、どうせならこのまま行ってしまいましょうとクリフさんからの提案もあり、船の速度を落とすことなく湖が見える今の場所までほんの数時間で到達してしまった。
「つ、着いたの……ウプッ」
「小僧、お、お前は……ゴプッ……私に……ゲボッ……な、なんの恨みが……エロエロエロォォォ~」
「お嬢様、サーシャ、その姿はあまりにもヒドすぎます。私達は見てませんのでご自分で整えて下さいね」
「「エロエロエロォォォォォ~」」
湖が見える位置まで来たところでキュリ達が船の速度を緩めるとほぼ同時にそれまでなんとか手で抑えて我慢していた姫さんと隊長がキレイな顔からは出してはイケない物を盛大に噴射させてしまい、キュリ達が慌てて船に上がる。
「おいおい、コータ。こんなの聞いてないぞ」
「俺なの? 違うよね。これは船を安定して進ませることが出来なかったキュリ達のせいだよ」
「は? なんで俺達が悪いんだよ。俺達は一生懸命に船を進めてここまで来たんだぞ!」
「うん、それは感謝するよ。でもね、見ての通り被害者が二人もいるんだよ」
「だから、それがなんで俺達のせいなんだよ!」
「はぁ~あのね、あれだけ船が暴れたら、こうなるのはしょうがないんだよ」
「だから、それが船の操船となんの関係があるのかが分かんねえって言ってんだよ!」
ゆっくりと進む船の上でまだ水の上に撒き続けている二人を余所に俺とキュリが言い合っているんだが、キュリは一向に引かないので、その頭を掴んで「こういうことなの!」とグルグルと回してあげると「うぷっ」となり、三人仲良く並んで蒔いている。
「分かった?」
「……わ、分かった……ウプッ」
湖に入ったら、櫂を使ってゆっくりと船着き場へ近付ける。
「クリフさん、リザードマンに頼む場合はエチケット袋が必要になるね」
「エチケット袋ですか、そうですね。分かりました。冒険者ギルドには通達しておきましょう」
「それと特急、急行、普通で分けるのもいいかも」
「そうなると、今回は特急ですね。なるほど、分かりました。その辺りも考慮しましょう」
やがて船着き場に着くとクリフさんがサッと船から桟橋へと移りフラつく姫さんの手を取り桟橋へと渡らせる。隊長もフラつきながらだが、そこは護衛騎士としての矜持なのかなんとか桟橋へと渡る。
「じゃ、タロ。俺達も行こうか」
『ワフ!』
「あっ!」
タロが急に立ち上がったことで船がぐらつきバランスが崩れたことで俺は湖面に落ちそうになるが、タロが服の裾を咥えて難を逃れる。
「セーフ、タロありがと」
『ワフ!』
「チッ」
「ん?」
俺が落ちなかったのがそんな舌打ちするくらいに残念に思っている隊長に俺からのちょっとした仕返しをプレゼント。
「隊長、ほらあっち!」
「えっ!」
「あっ、今度はそっち!」
「はい?」
「と、思ったら今度は上から!」
「あっ……うぷっ……」
「あ~そんなに頭を振ったら、そうなるよね~」
「小僧、貴様! うぷっ……エロエロエロォォォォォ~」
兜の面を上げ盛大に湖面に撒く隊長を尻目にクリフさんに言う。
「クリフさん、隊長は無理そうだから先に行きましょう」
「どちらかと言えば……まあ、そうですね。サーシャ、具合がよくなってから来なさい。いいですね?」
「クリフ殿、私は大丈夫ですから……うぷっ」
クリフさんはそんな隊長をジト目で見ている。
「最後の追い討ちがコータ様のせいだとしても、護衛騎士の隊長として恥ずかしくはないのですか。少し頭を冷やしてから来るように。いいですね?」
「は、はい……」
ちょっとクスリが効き過ぎたかなとは思うが反省するのは俺ではなく隊長の方だし、まあいっかと俺はタロと並んで歩き出すとキュリに手を振って別れを告げる。
キュリはクリフさんから依頼達成のサインをもらうと一人、教えてもらった冒険者ギルドへと向かう。
「では、私共も参りましょう」
クリフさんが手配した馬車には既に口元を抑えた姫さんと専属メイドのお姉さんが乗り込んでいたので、俺も乗り込むとタロまでが乗って来た。
「ちょ、ちょっとタロ!」
『空いているでしょ』
「いいですよ。タロもどうぞ。ウッ……」
『ほら、詰めて!』
タロが乗り込み一気に狭くなった馬車だが、クリフさんはタロが乗り込んだのを見てから馬車を走らせる。
俺は馬車の窓から外を眺めて思う「ここはホントに湖なんだろうか」と。海を見たことがない人に「ここは海です」と言ったら、絶対に信じてしまうだろうなと思うくらいに広い。琵琶湖を実際に見たことはないが、確実にアレよりは広いと思える。だって対岸は見えないし水平線も認識出来たのだから。
なのでホントに湖だよなと
『肯定します』
まさか、これもフラグなんですか。
フラグだとしても回収部隊は他の人にお願いしたい。
『否定します』
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