第22話 第一試練からの集団
「それで試練って何するの?」
やる気満々で試練を受ける!と言ったが何をするか聞いていないためアヤネは闇の妖精に質問した。
「試練は全部で3つね。まず、闇の中で起こるあらゆる事象に対応できないとクリアできない試練。次に、妖精や精霊と相性がないとクリア出来ない試練。最後に、妖精や精霊と戦う試練。とまあ、こんな感じかな。それと、これ以上は教えられないから。」
「分かっ......た。」
いまいち理解出来てないアヤネを無視して闇の妖精は説明を続ける。
「それから僕の試練を受けたら他の妖精の試練は受けられないから。」
「え!?そうなの!?」
どこでも受けられると思っていたアヤネは面喰らった。
「そうだよ。それと一度受けたら二度と受けられないので注意してね~。」
「うわぁお。それ、早く言ってよ。準備する時間が欲しくなったよ。」
アヤネの願いに闇の妖精は耳を傾ける
「それじゃあ、試練を始めようか。」
こともなく。闇の妖精は試練を始めた。
◇◇◇
闇の妖精が指を鳴らすと再び、辺り一面を闇が包んだ。
「わっ!!え~、真っ暗にしちゃうの!?」
「試練だから。文句言うな。文句言うなら試練、終わらせれるけど?」
「いや~、文句なんてあるわけないじゃないですか。冗談はよしてくださいよ~。アハハハ。」
アヤネは闇の妖精の言葉に一瞬ビクッとなったが冷静に状況を把握していった。
(【思考超加速】は機能してるからさっきのとは違うみたい。でも、攻撃用スキルは使えないってパターンもあるのかな。でも、とりあえずはオッケー。)
「それでは試練を開始する。」
闇の妖精がそう告げると、アヤネの【気配感知】がとてつもない数のモンスターの反応を感知した。
「!!これ、ヤバイかも。」
「もう気付いちゃった?早いね。まあ、気付いたところでって感じだけど。」
アヤネは昨日のボス戦でかなり消費して残っている爆裂手裏剣の全てをインベントリから取りだし、近寄ってくる前に数を減らそうと考えた。
「それっ!」
アヤネはモンスターがいる方向に全部投げた。すると4分の1ほどの反応が消えた。
「よしっ!あぁあ、毒があれば良かったのに。」
そしてアヤネは必要性があまり感じられず、5個しか作らなかった焙烙火矢ほうろくひやをインベントリから取り出した。
【忍具生成:炮烙火矢】
【忍具生成IV】になると作れるようになる。消費MPは30。現代で言うところの手榴弾。
「これの使い道がいまいち分からないんだよね。けど適当に投げれば良いのかな?それっ、」
アヤネは試しに1つをモンスターの集団の中に投げ入れる。すると、その1つだけで見た目、5分の1を減らした。
「おおっ!!全体を100としたときに手裏剣でだいたい75になったから今ので75の5分の1だから、だいたい....60だね。てことは、上手く使えば全滅できるかも。よし、えいっ!」
アヤネはモンスターの集団に炮烙火矢を投げ入れていく。全て投げ入れた頃には最初と比べて10分の1になっていた。
「ここからは自力でいくしかないか。結構、残ってるけど仕方ない。」
アヤネの【気配感知】には40体ほどのモンスターの反応がある。
(普通に戦うか【神速】でどうにかするか。でも【神速】はこのあとに必要になるかもしれないから残しておきたい。考えろ、頭をフル回転させて最適解を導き出せ!!【土人形】と【分身】なら片付けてくれるかも。とりあえず、やってみよっか。)
「【土人形】【分身】......・・・・・あれ?やっぱり、使えるスキルは自分の中でしか機能しないスキルだけってこと?参ったな~。どうにかしないと。」
モンスターの集団はすでに20m手前まで来ている。
(どうしよう。完全に自分の実力でってことだよね。そもそも、戦わずにここまで減らせたのがラッキーだっんだよね。ホントなら全部実力で倒さないといけないのに。そう思ったら楽.....ではないね。)
「一応、確認として【神速】..........ですよね。使えないよね。はあ、仕方ない。やるか。」
アヤネは何も見えない暗闇を進み、モンスターの集団に近付いていく。そしてモンスターとの距離が5mほどになったとき、アヤネは攻撃を開始した。一番近かったモンスターを斬り、横をすり抜け、モンスターとモンスターの間をすり抜けながら通り魔のように攻撃を入れていく。【気配感知】の情報と己の勘とPSだけで攻撃をして、モンスターの攻撃を躱しながら通り抜けていく。アヤネは万が一、攻撃を受けたとしても自分だけにスキルの効果がある【クライシスディフェンド】や【ラッキーアライブ】で生き残れるとは思っているがどちらにしろ危ない橋を渡ることになる。【ラッキーアライブ】はHPが0になるとき、1日1回だけ50%の確率で1耐えて生き残るスキルだが自分の目標のずっと被ダメ0プレイヤーではなくなってしまう。
そして、モンスターの集団を抜けきったアヤネはそんなのはイヤだ、と言うようにいつの間にか取り出した最後の麻痺する煙玉を集団の中心に投げ入れ、モンスターを全て麻痺させた。そして麻痺が解けない内にできるだけ多くのダメージを入れないと、とどんどん斬っていく。それで半分を消滅させるがもう半分のモンスターの麻痺が解けてしまった。
「ひえぇ。これだけやってもあと20体もいるの?あー、キツい。完全な肉弾戦は敗色濃厚だし、もう爆発出来ないし、麻痺も手裏剣しかない。しかも3個。睡眠ならあるけど睡眠だったら攻撃した瞬間に起きちゃうからな~。」
その後、見えないモンスターの頭を踏んだり、モンスターの足につまずいて地面にダイブしたところをモンスターが攻撃してダメージを受けそうになったけどしっかりと躱したり、攻撃を【双忍刀】で受けて、ふっ飛ばされつつも、しっかりと着地を決め、ギリギリ死ななかったりとちゃんと肉弾戦をしてどうにかノーダメージで全てのモンスターを倒すことが出来た。
「はあー、危なかった。結構、ガチで死ぬかと思った。これで1つ目なの?2つ目、3つ目が不安になってきた。」
アヤネがこのあとの試練への不安を口にしたところで指パッチンが聞こえ、闇が晴れていった。
「第1試練、突破おめでとう。突破の仕方には多少驚いたけど。」
闇が晴れると奥の方から闇の妖精が話しかけてくる。
「突破方法を指定された覚えはないので。」
「まあ、確かにしてないね。」
「ルールに明言されてないけど、どっちだろう?って感じのグレーゾーンはホワイトなので。」
闇の妖精に突破方法について言われるとアヤネはグレーゾーンを用意した運営が悪い!と宣言した。
「それじゃあ、次の試練に移っても良いかな?」
その問いかけに対してアヤネは口角を上げてこう言った。
「もちろん。どんな試練でも乗り越えてあげるよ。」
アヤネがOKを出すと闇の妖精は手を叩いた。
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