夜間運転に注意
城から南に20キロ、そこに遺跡がある。といっても、人ひとりが両手を広げた程度の大きさに、崩れた柱が6本。
地元の人間からはそのまんま「6本遺跡」と呼ばれている。300年前に起きた戦争の慰霊碑らしい。
それが途中で儀式を行う祭壇となり、その慣習も廃れ、今は朽ち果て、柱も破損なく完璧に現存するモノは一本もない。
悪魔マスターメビウスはそこで待っている。
海岸沿いの道を、姫を乗せて走る。
電灯は無い。月明りだけ。それも雲に隠れればライトで照らされる場所以外何にも見えねぇ。
・・・姫はバイクに乗るのが初めてで、怖がってい、力強く俺の体をつかんでいる。
密着した体から、心臓の鼓動が伝わってくる。
「!?」
天地がひっくり返った。
叫び声を上げる暇もなく、地面が自分に向かって突撃してくる。
「がっ」
わけもわからないまま、地面が左右上下からぶつかってくる。
時間にして一瞬。だが永遠にも感じる衝撃だった。
何が起きた?何かに衝突した?
いや、人だ。一瞬、暗闇から人が見えた。なぜ?こんな時間にこんな場所で。
姫は無事か?周りを探すとが、暗くて見えない。
その時、ぼうっと火が広がる。バイクのガソリンに火が付いたのだ。
姫が倒れている。全く動かない。
今すぐ駆け寄って生死を確認したいが、体に力が入らない。
コツ・・・コツ・・・
音がする。足音だ。
黒煙の中から、男が現れた。
俺は驚愕した。こいつに衝突したんだ。結果、バイクはバラバラに砕け散った。
フレームもタイヤもあちこちに散乱している。俺も吹っ飛ばされ、立つこともできない。
なのに、この男は、かすり傷一つついていない。
あの一瞬の記憶を思い出す。そうだ。この男は、バイクを、蹴ったのだ。
真正面から。その証拠に、バラバラになったバイクの部品の中、ライトはぐしゃぐしゃに潰れ、足跡がついている。
足の形に歪んでいる。
なんだこいつは。
「立て」
男は俺に命令した。
俺は、ゆっくりと、体中の痛みを、不具合を抑えながら、立つ。
この男は・・・敵だ。
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