最強ゆえに誰からも恐れられ、孤独だった竜。
彼が暗闇の寝床で見つけたのは、名もなき花だった。
圧倒的な武力を持つ竜と、記憶を持たない無垢な花。
この二者の対話劇が物語の核となっている。
竜が花に語って聞かせる外の世界の描写がとにかく美しい。
特筆すべきは、竜の心理変化だろう。
「不遜を知らしめる」という傲慢な動機が、いつの間にか「土産話を探す」という慈愛に変わっていく。
その過程が繊細な筆致で描かれており、いつしか読み手も一緒になって竜の話を聞いているのだ。
終盤、物語はある方向に舵を切る。
ところで、タイトルにある「銀竜草」は実在の植物である。
その生態がストーリーと見事にリンクしており、たおやかな筆致とともに構成美が白銀に光る。
今もこの星で咲き続ける「銀竜草」という植物に救いと深い愛を感じ、涙が滲んだ。
名作です。
ぜひ。