第13話 匂い
「ねぇ、ダーリン」
「はい、、、」
「これはどういうことかな?」
「えっとぉ、、、」
この俺、黒神礼は追い詰められていた。
「浮気はどうなるか分からない訳ではないよね?」
「浮気はしてないんですけども、、、」
「ふーん」
あっ、やべ。
「えいっ♡」
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
美緒は包丁を彼女自身の手に刺した。
「これが私の痛みだよ?苦しさも全て共有するって言ったよね?」
「あぁぁぁぁ!!」
激痛で叫ぶことしかできない。
吸血鬼とはいえ、痛覚は存在している。
今感じるのは痛みしかない。
「浮気は絶対に許さない」
何故こうなったのかというと数時間前に遡る。
6月20日。
なんてことない普通の平日。
体育祭という一大イベントが5月に終わり、6月はなんのイベントもない。
学校全体も燃え尽き症候群のようなものを発症していた。
「神門ー」
「あー?」
「彼女とはどんな感じ?」
「いつも通り」
「羨ましいねー」
「そっちも変わらずだろ」
「まあなー」
教室での休み時間で俺たちはダラダラしていた。
美緒は自分の席で本を読んでいた。
俺と神門は席が隣同士だか、美緒も神門と反対側の隣が席になっている。
学校では積極的に話すタイプでもなく、大人しい。
そのため、3人でいるように見えて学校で話しているのは俺と神門の2人だけになっている。
「なぁ美緒、今日は用事があるから先に帰ってて良いぞ」
「?。分かった」
思いの外、聞き分けいいな。
まあ俺の用事は神門と買い物に行くことなんだが、、、。
「お兄さんたち、いっしょに遊びませんか?」
「なんでこうなった」
「さあ?」
俺は神門にお願いして、1ヶ月記念のプレゼントを探しに来ていた。
ショッピングモールにて、いろんな店を見てまわる。
そんな時だ。
他校の女子2人が俺たちに逆ナン?をしてきた。
「えっと、、、あなた達は?」
勇気を振り絞って質問をする。
「月代高校に通ってるよー。普通に買い物したくて一緒に良いですか?」
何一つ理解できん。
「えっとー、なんで?」
「まあまあ細かいことは良いから」
「それじゃ早速行こー!!」
おい神門、お前は何をしている。
断れよ。
何故、為すすべなく流されてんだ。
「とりあえずカフェ行こー!」
「いいねー!!」
俺たちは月代高校の女子2人に連れて行かれた。
「なんでもいいよ!私たちが奢るから!」
「いや。それは申し訳ないんだが、、、」
神門頑張れよ!
俺たちには彼女が居るんだぞ!!
その後は彼女たちに流され、買い物にも付き合うことになってしまった。
ただ本当に買い物に付き合っただけで、奢るとかそういうのはなかった。
「楽しかったー!!」
「ありがとー!!
「あぁ」
「それなら良かった」
彼女達は満足したみたいだが、俺たちはなんかもうげっそりした。
「良い時間だし、そろそろ帰るね」
「今日はありがと、、、っ!」
お礼を言おうとした女の子が躓き、俺にもたれかかってきた。
「おい、大丈夫か?」
「ごめんね、ありがとう」
「大丈夫ー?」
「うん、大丈夫。じゃあまたいつか会えたらねー」
こうして彼女たちと別れることになった。
「やっと解放された、、、。美緒が見てたら明らかに処刑ものだな」
「俺だって18になった瞬間に籍を入れられるとこだった」
さっきの女の子2人に解放され、疲れ果てていた。
「まぁ買うものは買ったし、帰るかぁ。今日は買い物に付き合ってくれて助かったわ」
「気にするな。だけど本当にこれで良かったのか?」
「あぁ、むしろこういうのでいいと思う」
「お前が言うなら大丈夫か」
「じゃあ俺はこっちだから、またな」
「おう」
神門と別れ、美緒の待つ家へと帰る。
プレゼント喜んでくれるかなぁ。
そんなことを考えているとあっという間に家に着いた。
「ただいま」
「お帰り、ダーリン」
「美緒、これなんだけど、、、」
「あっ、ダーリン正座」
「ふぇ?」
「正座してね」
プレゼントを渡そうとしたら何故か正座を促される。
とりあえず
従うか。
「神門君とお買い物に行ってたんだよね?」
「えっ、まあそうだけど」
「それなのにどうして女の子と遊んでるの
「な?」
「へ?」
何で知ってるんだ、、、。
ってまさか!!
「何で知ってるってダーリンの思考が読めるからだよ?それは距離とか関係ないの。ダーリンの主人なんだよ?ダーリンの考えは全て分かって当然だよ?」
「何で知ってるかは分かった。だけど、それなら浮気じゃないって分かるよね?」
俺はあの人たちと同行しないよう最後まで抗ったぞ。
「まあ、思考を読む以外にも証拠はあるんだけどね」
「証拠?」
「はいこれ。私の使用人が撮ってくれたみたい」
美緒に一枚の写真を見せられ、冒頭に戻る。
「ねぇ、ダーリン」
「はい、、、」
「これはどういうことかな?」
「えっとぉ、、、」
この俺、黒神礼は追い詰められていた。
「浮気はどうなるか分からない訳ではないよね?」
「浮気はしてないんですけども、、、」
「ふーん」
あっ、やべ。
「えいっ♡」
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
美緒は包丁を彼女自身の手に刺した。
「これが私の痛みだよ?苦しさも全て共有するって言ったよね?」
「あぁぁぁぁ!!」
激痛で叫ぶことしかできない。
吸血鬼とはいえ、痛覚は存在している。
今感じるのは痛みしかない。
「浮気は絶対に許さない」
「はぁ、はぁ、はぁ、だから浮気じゃなくてその子が躓いて俺がたまたま受け止めただけだから、、、」
「うん、知ってる」
「は?」
「それも使用人に聞いてるから」
「じゃあ何で、、、?」
「他の女の匂いをつけて家に帰ってくる人に罰を与えるのは当然でしょ?」
そっちかー!!
俺の思考が読めるから、浮気じゃないってすぐに分かってくれると思うが匂いはどうしようもできん!!
「私のものなのに、他の女の匂いがついてるなんて不愉快」
「そうは言われても」
「だからこれで私の匂いで上書きするの」
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
美緒は再び包丁を彼女自身に刺した。
「私の血を浴びて。他の女の匂いを消して。私の匂いで染め上げて。私の血の匂いと私自身の匂いで埋め尽くして。今度こんなことあったら相手を消さなきゃだからね?」
「分かった、、、」
まじで気をつけないと精神が持たない、、、。
貴方の全てを食らい尽くしたい。 MiYu @MiYu517
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