23.戸籍抄本
*
「なんや、
朝食後。ばきりとバナナを割りながら、
「ありがとう」
「おい偽古庵。僕のはないのか?」
うつぼ君が云うなり、偽古庵様は嫌そうに顔を
「一口やるがな。女の子にはちゃんとしたらなあかんやろ」
云いながら、己の持つ反割りバナナをうつぼ君の口許に運んだ。うつぼ君は遠慮なくそれにかぶりつく。ので、
三人は、例の生垣がある公園にきていた。やはり、同じ芝生の上に腰を落としている。
「俺が知らんとこで、なんか進んどるわ」
苦笑いしながら左腕を
「まぁ、良かったのじゃない? 偽古庵君の思惑通りに進んでいるようだし。――まあ、先々まで二人の気持ちが変わらず続くかどうかは知らないけれど」
うつぼ君はにやりと片頬を持ち上げた。
「なんだ? ハル子の恋愛感は随分皮肉なんだな」
「皮肉と云うのとは違うわよ」
「でも、
「そんなの関係ないわ。恋には慎重にならなくちゃ」
「お、ハル子ちゃん、エエこと云うやん」
ハル子さんは静かに田園風景を見やる。折よく吹きぬけた風は、彼女の髪をさらりと宙に遊ばせた。露わになったのは白くて細過ぎる
「だって、私は恋を間違えたくないもの。たとい、半身の問題がなかったにしてもね」
その瞬間、ハル子さんの
「ハル子――それってまさか」
ハル子さんは、茫洋と微笑む。
「そうよ。私も『
「えっ……!」
思わず
「何を今更驚いているの? 私も婿候補者なのよ? 婿様は『
今更ながら、その事実に思い至ったらしいうつぼ君は、本当に今更息を呑み、偽古庵様と顔を見合わせたのだった。それを
「ハル子?」
怪訝そうに眉を
「どうしたんだ」
「これから私、市役所に行くわ」
「市役所?」
うつぼ君を見下ろしながら、ハル子さんは
「確かめたいことがあるのよ。
「ついてこなくていいわ!」
叫んでから、今度こそ
「お前場所わかってるのか!」
手を口許にあててうつぼ君が叫ぶ。ハル子さんは急ブレーキで立ち止まってから再度振り返り、同じように口許に掌をあてて叫んだ。
「あなたとは違うのよー! 迷子になんかならないわー!」
果たして数刻後。目的のものを手にし、無言で
受け取った
玄関の自動ドアが大袈裟な音を立てて左右に開く。耳障りだ。伏し目勝ちに表に出る。緑の
「ついてこなくて
市役所玄関の中央には、ロータリーの役目も果たす噴水がある。その縁にうつぼ君が腰をかけて待っていたのだ。さすがの彼も気まずそうに唇を引き結んでいる。それが、なぜだかおかしくてハル子さんは笑ってしまった。
「ハル子。この噴水、もしや二重構造になっていないか」
「ええ、そうよ」
「これももしかして、
「そう。このまにまに王國には戸数があるだけ二重構造のつくばい、もしくは噴水があるの。『
「本当に?」
大いに怪しいと云った顔で噴水に近づいたうつぼ君に「
「慣れていない人間は
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