第43話 生徒会、不穏な進化①
(ふふっ、これであの
生徒会役員のカータ・リリス。彼女は、極度にクララのことを嫌う国民の一人であった。
(
シェイラ様はなぜかあの女をかばっているのだもの、一度シェイラ様には黙っておいてもらう必要があったのよ!)
どんなにシェイラが事実は噂の通りでないと伝えようとも聞く耳を持たない生徒会役員たちの筆頭の少女。シェイラを思っての行動のようだが、これでは何がシェイラのための行動なのかわからない。
実際のところシェイラはかなり迷惑しているのだから、少なくともシェイラの意図するところとは違う方向にむかっているのは間違いない。
(シェイラ様は今この学園にいない、そして学園の生徒には何人も私の案に賛同する者がいる。全て、あの方の思惑通りだわ!)
薄ら笑いを浮かべ、邪悪なオーラを纏いながら歩き続けるカータ。側を共に歩く生徒会役員2人は全く気に留めていないところから、完全なるグルと化してしまったことが伺える。
「さぁ、いきましょうか。皆様が待っているところへ」
クララもライリーもエリックも、他の1年C組の者たちもシェイラも、それから学園の教師までもが知らない大きな計画が本格的に進み出したのである。
***
生徒会が動き出しているとはつゆ知らず、クララとライリーはアイーヌのもとへ全力疾走をしていた。
「まさか、こんなに早く動き出すとは思ってなかったわ!」
「同感! もしかしたら、シェイラ様への妨害工作ももう必要ない段階になっちゃったのかもね」
いつにも増して表情が険しい二人。城内の裏道を駆使してアイーヌのもとへと走っているため、まだ誰にも気づかれていないがそれも時間の問題だ。
アイーヌの動きが怪しいと言っていたのが一週間前。その時点では様子が怪しいという懸念があるだけであった。
しかし、2日前の午後、二人の張った監視魔法にアイーヌが謎の人物と話し合っている様子が引っかかった。
そして昨日、普段はめったに入ってこないクララの部屋に、アイーヌが侵入してきた。特段何かをされた様子はないが、明らかに何かがあると、クララは感じたのである。
さらに二人が全力で走っている状態になるまでに、学園で起こったこと。これが決定打となっているのである。
***
『全学園生の皆様! 今から皆様にはとあるゲームに参加していただきます』
放送で学園中に伝えられた、生徒会によるゲーム大会の知らせ。
しかし、前触れもないゲーム大会にたまたま同じ場所に居合わせていたクララとライリー、それからエリックの三人は不信感を募らせていた。
「ゲーム大会? こんな時に?」
「ライリー様、何か知ってる?」
「いや、何も。そんな話、俺が参加してた会議では出てなかったと思うんだけど……」
記憶をたどっても何一つヒントがない。そのことから、一部メンバーによって勝手に進められたゲーム大会だとライリーは判断した。
『ルールは簡単。シェイラ様が現在謎の病気に悩まれているのはご存知だと思います。そのシェイラ様の謎の病気を突き止めるのです。
何かしら情報をお持ちいただいた皆様にはポイントを差し上げます。
最終的に、ポイントの多い方がこのゲームの優勝者となります』
どんな意図があってそんなことをしているんだ!? と突っ込みたくなるクララとライリー。
しかし、ここで突っ込んでしまっては裏で調査を進めていることが周りに筒抜けであるため、どうにか心を落ち着ける。
『さぁ、皆様! ゲームを開始いたしましょう!
この行事は、ひいては我が生徒会の麗しき女神、生徒会長のシェイラ様のためになることでございます!!
学園外にいる協力者も今日は活発に動きを進めている予定です。一緒に、犯人を捕まえましょう!』
うおぉーー!!
簡単に惑わされている生徒たち。これは流石に2人にとって無視できない出来事だったようだ。
「なんなのよ!! 姉様のご病気をダシにするなんて!!」
「ほんとだよ。シェイラ様のためって言っておきながら、何も考えてないじゃないか!」
シェイラ本人の気持ちと、苦労して証拠を集めているクララとライリーの気持ちは一切考えられていない暴挙。
これに怒るなという方が無理な話である。
「ねぇ、さっきの、学園外にいる協力者って、誰のことかな……?」
「えっ……?」
エリックがボソッと呟いた言葉に、クララとライリーは即座に反応した。
この言葉に、胸がざわつくのを感じながら……。
つづく
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