第40話

「川部君が仲間を欲しがるなんて。意外だな」

「なにいってるんだ。東雲君は僕の仲間だろう」

「えっ」

「仲間だから、こうして一緒にいるんじゃないか」

とうやは驚いた。

自分が死ぬかもしれないデスゲームを楽しみ、人が死ぬところを見て楽しむ。

それが川部だ。

そんな奴に仲間意識なんてものがあったなんて。

それもとうやを仲間だと言うなんて。

意外過ぎるにもほどがある。

「なにをそんなにびっくりしている。仲間だったじゃないか。途中からだけど」

――途中から?

とうやはこれまでの川部の様子を振り返った。

確かに最初は敵対していたような雰囲気があった。

しかし最後、こいつは一度もとうやに票を入れなかったし、前のホラーゲームが終わった後も、何度もとうやのところに来た。

そしてホラーゲームが終わっていないようだと忠告をしにも来た。

これらは仲間としての行動ととれないこともない。

しかしどういう心境の変化なんだ。

首無しから逃げる時は、前の人を引きずり倒したりもしていたのに。

そんな奴に仲間と言われるなんて。

果たして信用していいものかどうか。

とうやが考えていると川部が言った。

「仲間と思われていなかったなんて、ちょっと傷ついたな」

「そうかい」

その後の会話はない。

右往左往していた人たちも、少しは落ち着いてきたようだ。

ここがどんなところかは、わかっていないだろうが。

「それにしても」

川部が言った。

「なんだい」

「そろそろ、あのお嬢ちゃんがなにか言ってきてもいい頃なんだけど」

それもそうか。

ここに来てから結構時間が経っている。

それなのに例の幼女がまだなにも言ってこないのだ。

「寝てるんじゃないか、あのお嬢ちゃん」

それはないだろうとは思うが、だったらなぜ話しかけてこないのか。

そう思っていると、声がした。

「ふう、やっと静かになったわね。頑張って大勢集めたのはいいけど、ちょっとうるさかったわ」

いつものように頭の中に直接話しかけてきた。

大勢がそれに反応する。

「なんだ今の声は」

「幼い女の子の声だ」

「頭の中に直接話しかけてきやがった」

「なんなのあの子」

「それよりここはどこなんだ」

などなど。

ざわめきはおさまらない。

幼女も何も言わない。

――騒ぎが収まるのを待っているのか?

とうやが思っていると、そのうちに少し静かになってきた。

すると声がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る