第38話
そのうちに目の前が真っ暗になった。
ホラーゲームと言う名のデスゲームが始まるのだ。
視界が開けた。
人人人。
大勢の人がいた。
みんなあたりをきょろきょろし、なにかを口にしている。
その数はよくわからないが、数百人だろう。
前回のホラーゲームの何倍もの人が、ここにはいるのだ。
ざっと見れば、男性の数が女性よりも多いようだ。
それは前回と同じだ。
そして年齢だが。一番若い人でとうやから見ている範囲では中学生くらいの男の子と女の子が何人かいた。
一番上は、七十代くらいだろうか。
これも男女数人がいる。
一番多いのは、二十代だろうか。
そして三十代と十代後半あたりが多いようだ。
――次はどんなゲームをするつもりだ?
とうやが考えていると声がした。
「やっぱりいたな」
川部だ。同じ制服だ。見つけるのはたやすい。
「また始まったな」
「僕の言ったとおりだろう。そんな気がずっとしてたんだ。僕のカンは昔からよく当たるんだよ」
「そうか」
とうやはそれしか言えなかった。
カンが当たる。
それ自体は問題がない。
問題は悪いカンが当たったということだ。
はっきり言って、なんの役にも立っていない。
「とにかく、今度はどんなゲームかな。参加者も前回より全然多いし、楽しみだな」
また楽しもうとしている。
このおかしな奴は。
これだから付き合いきれない。
周りは相変わらず騒がしい。
数百人と言う人間が、わけもわからずに右往左往しているのだ。
騒がしくないわけがない。
おそらくこの状況を、今から何が起きるのかと言うことを知っているのは、この中ではとうやと川部の二人だけなのだろう。
そうかと言ってそれを説明して回るなんてことはしない。
全員見知らぬ人だし、説明も簡単ではないし、そもそもほっておいてもそのうちあの幼女が説明するだろうし。
「おや、あいつは誰だ」
川部が言う。
その視線の先には、学校は違うが同じ県内の高校の制服を着た男子が、とうやと川部を見ながらこちらに向かっている姿が見えた。
そして二人の元にたどり着く。
そのまま黙って二人を見ているのだ。
小柄な高校生だった。
背が高いとうやとは、三十センチちかくの身長差がありそうだ。
おまけにきゃしゃで細い。
まるで小学生のような体格だ。
その顔は整い、高校生そのものの顔だが。
やがて川部が口を開いた。
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