第33話

三番の男が訴えるような目で川部を見たそして同じ目でとうやを見て、さらに工藤を見た。

言いたいことはわかる。

わかるが、それは逆効果なんじゃないかと、とうやは思った。

「残り四人。クライマックスは近いわね。わくわくしちゃう。さあさあ、次は誰かな誰かな。はーい、番号押してね」

とうやは再び川部を押した。

残り三人もパネルを押す。

そしてまた静寂。幼女の声。

「じゃじゃーん。発表します。栄えある選ばれしものは、三番でーす。おめでとうございます」

「くそっ!」

三番が立たされ、後方に行き、そしてねじられた。

人間の身体をここまでねじることができるなんて。

いったいどれほどの力が働いていると言うのか。

それにしてもとうやは二番を押したので、残り二人が三番に入れたことになる。

川部はとうやを選ばなかったのだ。

それがとうやには意外だった。

こうして高校生三人が残った。

「もうクライマックスは近いわね。心臓ばくばくだわ。うーん、最高。ほんと生きててよかったあ。こんなにも楽しいなんて」

常に頭の中に直接語りかけるので、聞きたくなくても嫌でも聞いてしまう。

ほんとうに嫌だととうやは思った。

「残り三人。次は誰かな誰かな。さあ準備はいいの。殺したい相手、思う存分投票してね。それでは」

ブザー音。

とうやは川部に入れた。

残り二人も番号を押したようだ。

そして静寂。

そのまま静寂。

幼女の声が聞こえてこない。

――どうした。

結果発表も恐ろしいが、反応がないと言うのもある意味恐ろしい。

なぜ声が聞こえてこないんだ。

あのクソ幼女はなにをしてるんだ。

イライラしながら考えていると声がした。

「うーん、三人が三人とも、一票づつ入っているわね。これじゃあよくないわね。もう一度投票ね」

とうやは川部に入れた。

すると川部が工藤に、工藤が川部に入れたのだろうか。

考えていると工藤が川部を見て言った。

「川部君は東雲君に入れると思ったのに。入れなかったのね」

涙目で、声も上ずっていた。

彼女の言ったことは、自分はとうやに入れたと言うことだ。

そして川部は工藤に入れたのだ。

――どうして?

工藤はとうやが川部に入れることは考えなかったのか。

そうすれば川場に二票はいったのに。

それ以前に、自分以外の二人、とうやと川部で川部ではなくとうやの番号を工藤は押したのだ。

首が落ちてくるゲームでは、とうやの横から動かずに、ずっと手を握っていたと言うのに。

「また話してる。けんかも打ち合わせもなしよ。もう一度とやるから。今度は誰かに決めてね。それじゃあ、いっくよー」

ブザー音。

とうやは番号を押した。

二人も押した。

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