第31話
四十代に見える男が一人。
三十代に見える男が一人。
二十代後半に見える男が二人。
そしてとうや、川部、工藤の高校生三人だ。
二十代の女子がいたはずだが、どうやら首につぶされたらしい。
とうやは誰がつぶされたのかは、いちいち確認していなかった。
「これに座ればいいのかな」
川部が椅子に座った。
すると幼女の声がした。
「そうそう、座ればいいのよ。おりこうさんね。さあさあ、残りの人も座ってね。座らないと、ひどいわよ」
そう言われて、今更逆らう人はいない。
皆が椅子に座った。
向かい合って円形に並べられた椅子に。
とうやの横に工藤が座り、川部はほぼとうやの正面にいた。
再び声がした。
「それじゃあルールの説明をするね。目の前にパネル、あるでしょ。そこに番号がかかれてるわね。そして、これがみんなの番号」
とうやは人々の額に番号委が浮き上がってくるのを見た。
自分の額にも。
自分の額は見ることができないが、とうやはなぜか自分の番号が五であることが、はっきりとわかった。
隣に座る工藤は六で、川部は二だった。
「みんな、自分の番号わかったわね。今回のゲームは簡単。死んでほしい人の番号を押すのよ。そして一番多く押された人から死ぬわ。もし押さないと死んじゃうから、死にたくなかったら、とにかく押すことね。それじゃあ始めるわよ。ブザーが鳴ったら、五秒以内に押してね。はい」
ビー―ッ。
けたたましいブザー音が聞こえた。
とうやは二番を押した。
川部の番号だ。
みんな押し終わったようだ。
幼女が言う。
「はーい、結果発表。どきどきするわね。結果は四番の方です。おめでとう。もう生きて苦労することもなくなったわよ」
四番。四十代に見える男。
この中では最年長だ。
だから選ばれたのかもしれない。
若い人よりは押しやすかっただろう。
「うわ」
その男の身体が宙に浮き、椅子の後方に移動した。
そしてねじられる。
頭と足が別々の方向に回り始め、男の身体はまるで雑巾のようにねじられた。
血が飛び散り、男の身体が細く長くなっていく。そ
して何回転もねじられたと思われた時、男の身体が地面に落ちた。
もはやもともと人だったとは思えないほどに変形した身体が地面に転がった。
「ひっ」
工藤が小さく悲鳴を上げる。
他の人は誰も口を開かなかった。
「はーい、残り六人。さあもう一度、死んでほしい人の番号を押してね。ではでは」
相変わらずの口調だ。
声に似合わず大人びていて、おまけにかんにさわる。
ビーッ。ブザー音。
とうやは二番を押した。
みんなが押し終えた。
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