第29話
――二十三回落ちてきて、七人死んだ。
――二十四回落ちてきて、七人死んだ。
――二十五回落ちてきて、七人死んだ。
――二十六回落ちてきて、八人死んだ。
――二十七回落ちてきて、八人死んだ。
――二十九回落ちてきて、八人死んだ。
――三十回落ちてきて、八人死んだ。
とうやはずっと数えていた。
すると首が止まった。
木の床に刺さったまま動かない。
――どうした?
とうやは見ていた。
川部も工藤も。
そしてそれ以外の四人も。
すると、首もまぶたをぬっていた糸がポロリと落ちた。
そして巨大な女の首が目を開けた。
その瞳は真っ赤だった。
――どうなった。なにが起きると言うんだ。
見ていると、首が大きく口を開けた。
「きゃああああああああーーーーーーーっ」
肺がないはずなのに、とてつもない声だった。
とうやは思わず耳をふさいだ。
「きゃああああああああーーーーー――っ」
首は叫びながら宙に舞った。
その高度をどんどん上げる。
落ちてくる直前にとどまっていたところよりも高く上がり、まだ上昇している。
そのうちに首は見えなくなった。
叫び続けていた声も聞こえなくなった。
――なんだったんだいまのは。
考えていると、声がした。
いつものように頭の中に。
「はーい、今日のホラーゲームは終わり。八人死んで、七人生き残ったわね。生き残った人、おめでとう。次で死ぬかもだけど。次が最後のゲームかな。わからないけど。生き残った人数次第ね。まだ次のゲームは考えてないし。とにかく今日は終わり。じゃあ、今日はもう帰っていいわよ。みんなお疲れ様」
目の前が真っ白になる。
やがて気づけば、とうやは教室にいた。
いつものように誰もとうやがデスゲームに参加していたことには気づかない。
とうやはそのまま何事も負かったかのように授業を受けた。
ママが何か言っている。
このところ多いな。
なんかいつも怒っている。
パパと最近うまくいっていないからかな。
すぐ怒る。
ほんと、うっとうしいわよ。
いい加減にしてよね。
これじゃあ私もストレスとかやらが、たまってしまうじゃない。
こうなったらもう、ホラーゲームでもやるしかないのよね。
うさばらしうさばらし。
家に帰る。
それだけだ。
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