第16話

とうやはそのまま眠りについた。

こんな異常な状況で、明日死ぬかもしれにと言うのに、とうやは何事もなかったかのように眠りについた。


学校に行く。

誰かと世間話をするような精神的余裕はないが、もともと最低限のことしかしゃべらないので、その点については問題がない。

あとはホラーゲームがいつ始まるのか。

そして次はどんなゲームなのか。

そして自分は生き残れるのか。

そればかりとうやは考えていた。

そして先生に不意にあてられた。

答えられない。

先生が何を言っているのか聞いていなかったからだ。

「おい、東雲。授業はちゃんと聞くもんだぞ」

怒られたが、それだけで済んだ。

特になにもない。

私立高校の授業なんてそんなものだ。

一日中ろくに授業を聞いていなかったが、何事もなく過ぎていった。

そして帰宅。

その時とうやはあらためて気づいた。

――今日はホラーゲームはないのか?

ないに越したことはない。

ひょっとしたら,あの幼女がゲームに飽きてしまった、ゲームを止めてしまったという可能性もないことはない。

そうなれば万事解決だが、今の時点でそうだと言う確信もない。

――あんなゲーム、なくなってくれればいいんだが。

そう願った。

とうやは生まれて初めて神に祈った。

どこか特定の宗教の神と言うわけでもなく、とにかく神に祈ったのだ。


普段通りに眠り、起きる。

今日も普通に眠って起きた。

こんなことができるなんて、とうやは自分でも不思議で仕方がなかった。

眠れない日々が続いて当然なのに。

朝食を食べ、学校に向かう。

いつもの道。

学校まで、歩いて十五分。

校門を抜け校舎に入る。

とうやの教室は二階だ。

階段を上る。

階段を上っている最中に、突然目の前が真っ白になった。

――ここで来るのか。

思いもかけなかった。

しばらく経つと、とうやは白い床が広がる場所にいることに気づいた。

目の前の床には将棋盤のようなマス目状が描かれてあった。

――なんだこれは?

とうやはマス目状の模様を見た。

一辺が一メートル余りの正方形。

それが縦に九列、横に九列ある。

八十一の正方形があることがわかった。

――これが次のホラーゲームなのか。いったいこれをどう使うんだ?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る