第15話
その顔からすると、どちらが本当のことを言っているのか測りかねているようだ。
とうやは残った面々を見た。
もともと少なかった女性の人数が、かなり減っていた。
もう集団の中にいる女性は、セーラー服を着た女子高生と、二十代後半に見える女性の二人だけとなっていた。
足の速いものが生き残り、遅いものが首を取られたのだ。
女性には不利なゲームだっただろう。
最初に首を取られたものも中年の女性だったし。
そんなことを考えていると、目の前が真っ白になった。
今回は早かった。
目の前が真っ白になったかと思うと、次の瞬間にはとうやは教室に戻っていた。
前回と同じく、周りの反応はない。
誰もとうやがここを離れてデスゲームに参加させられていたことには気づいていないのだ。
気づいたからと言って、誰もどうしようもないのだろうが。
家に帰る。
学校が終わったら帰るのは当然だ。
母はまだ帰っていない。
母子家庭。
母親は仕事が忙しい。
それと家事をしている。
とうやも少しは手伝うが。
母が帰ってきても、とうやがホラーゲーム無に参加していたことを話すことはない。
母親だけでなく、誰にも話さないだろう。
まず信じてもらえない。
たとえ信じてくれたとしても、母を含めて誰にもどうすることはできないだろう。
とうやにできること。
それはなんとかこのデスゲームを生き残ることだけだ。
生き残れる自信はないが、とにかくやるしかない。
死にたくないし、死んだら母がどれほど悲しむことか。
忙しさのあまりにほとんど会話のない親子だが、母がとうやを嫌っているわけではないのだ。
――次はどんなゲームをやるつもりなんだ。
それもわからない。
そしてあの幼い声で、残酷なことを仕掛けてくる女の子のことも。
いったいどうやったら、あんなことができるのか。
とんでもない化け物にしか思えない。
そしてどうやったら、あのデスゲームを止めさせられるのか。
そもそも止めさせるとこが、とうやにできるものなのか。
そんなことを考えていると、母が帰ってきた。
「ただいま。夕飯作るの手伝って」
とうやは言われたとおりにした。
母と一緒に夕飯を作る。
たまにする。
そんなことよりも、果たして今後、自分は母と一緒に夕飯を作ることができるのか。
とうやは夕飯を作りながらそう考えていた。
夕食を食べ、風呂に入り、ネットを見た後、眠る。
とうやはついさっき見たばかりにネットの内容を思い出せないでいた。
それでも眠る。
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