(一人読み)精肉店「ミートショップチョップチョップ」後日談②
二重人格の店主が接客、対話します。
年齢不詳、性別不問。一人称変更可。
軽微な口調変更可。
過度な改変はご遠慮下さい。
作中表記「…」は店主の挙動不審さを視認するために入れたものです。
挙動不審であれば間隔や間は演者様にお任せいたします。
上演目安時間15分前後です。
話の内容をよくご確認の上、
上演や録音の判断をお願いします。
---------お話はここから---------
-S区K町四丁目十三番地地下三階
「お…電話あり…がとうご…ざい…ます…ミートショ…ップ「チョップチョップ」です……はい、…保険会…社の…方です…か…いつもお…世話に…なっ…ており…ます……
店主:…本日…は、…どんな「肉」…で…すか…?」
「はい、…はい…エイジ20(トゥエンティ)前半…オス、…注射痕はー…無し、…はい…肉質は…硬そう…と…ヒレの質が…よ、良さ…そうで…すね…えへへ(笑)……あっ、…し…失礼…致し…ました……」
「「肉」…の保存…状態は…ど…どんな…感じ…ですか…?…はい、頸動脈…を、、鋭利な…物で切っ…て…「肉」が…絶命し…た…後、二十分以内に…クーラーボッ…クスに…入れて……あ、もう店舗…前に来て…くださって…いる…ので…すね……さすが、保険…屋さん…です……け、頸動脈…以外に…キズ…の無い…健全な「肉」…を…良い状態で…卸し…て…くだ…さる……なんて…ほ、保険屋…さん…、の…方の中で…も…あなた…の「肉」…への…愛情は…郡を抜いてい…ますね…えへへ(笑)……」
「…本日は……新、鮮な…に、「肉」が…入荷出…来る、なんて…タ…イミング…が良い…ですね…ああ、すみません…こちら…の話です…
はい、…ありがとうご…ざいます……では…店内へ…ど、どうぞ……」
-大きなクーラーボックスと保険屋、入店
「…いらっ…しゃいませ、
いつも…あり…がとうご…ざいます…さ、早速で…すが…「肉」…の状態の…確認を…させて…くださ…い…」
-クーラーボックスの中にある「肉」を見る
「…し、死後…硬直前に…保存して…くださっ…た…ので…すよね……新鮮な「肉」…「肉」!「肉」っ!「肉」っ!…あははははははははっ!!
精肉加工…出来る♪…楽…しい楽し…い精肉加…工…♪…」
「あ、す、みま…せん…一人で…盛り上…がっ…てしまっ…て…」
「せっかく…だから…精肉…加工の…様子を見…てみたい??……大変も、申し訳…ござ…いません……食…品衛生法…の観点か…ら見学を、して頂…くこと…は出来ないの…です…
え?…ミートジャーキー…の調…味料…ですか?…こ、これ…は企…業秘密なの…で……お見…せするこ…とはちょっ…と…
お客様…お断…りするこ…と…ばかりで…本…当に申し…訳ござ…いませ…ん…」
「ミートジャーキーはなあ、新鮮な「肉」が入ったときしか作んねーって決めてる当店の裏メニューなんだよ
精肉加工の見学やミートジャーキーの調味料についてはこれ以上深入りしないでもらいたいなあ?おい?
客は客でも保険屋の顧客、とくにあんたは上客なんでな…うちとしても今後も良いお付き合いを続けたいというのが店の方針だ、ミートジャーキーの試食をやるから、それで良いだろ?」
「…す、すみま…せん……お客様、に…悪態を…つい…てしまって……
え?…そ、そそそそ、そん…な…あ、あ、頭を…さ、下げ…ない…でく…ださ…い…!!…わあぁ!……は、早く!早く!…あ、頭……!!あははははははははは!!!(狂笑)」
-客の頸動脈がザクっと裂ける
「あーあー…また、派手にやっちまったなあ、おい
さっき「今後も良いお付き合いを続けたい」って話したばっかなのに、あんた忘れちまったのか?
店主の目の前で頭を下げるなって!
頸動脈切ってくださいって懇願してるようにしか見えなくてカッ捌いちまうって、「肉」の卸売契約書の書面にこのことは書いてあったんだが…?
ミートジャーキーの試食が出来るってテンション上がって忘れちまったのかもしれねえなあ、それは仕方ねえよなあ?
うちのミートジャーキーはA5ランクの新鮮な「肉」からしか作らないうえに皇族へ献上してる最高級品、資産家や政治家ですら滅多に手に入らないのに、それを庶民が口にすることなんてほぼ奇跡みたいなもんなんだからなあ!あはははははははは!!(笑)」
-店主、しばらく笑った後、ふと力が抜ける
「…ふぅ…ほ、本当に…良い…こ、顧客…さ、ま…だっ…たんだけ…ど…なあ……こういうことが起きないよ…うに「肉」…の卸売契…約書に書…いたのに、…内…容忘れちゃ…ったんだ…
こ、困…るんで…すよね……ほら、契約…書の…ここに…書い…てある…でしょ?…」
「第十四条、どのような場合でも店主の目の前で頭を下げることを禁ずる、その際起きた事象について乙は一切の責任を負わないものとする。」
「まあ、頭を下げるなって禁止事項として親切に契約書に書いたところで、条件反射で頭を下げちまう日本人が大半だから仕方ないっちゃ仕方ないか
にしても、うちの商品になれる健全な「肉」で良かったなあ、あんた
うちの「肉」を好んで食ってたやつの「肉」は質が良い…はず」
「…今日は…新鮮な「肉」が…二つ…も入るなんて…ふふふふふ、あははははははははは…(狂笑)」
「楽…しい…楽し…い…精肉加工♪…
まずは…吊るしまーす…♪」
「…血抜きは…しっかり…して…あるから…
手足の…筋(スジ)を切りまーす……あははははははは!この筋を切って宙ぶらりんになった…人形みたいな「肉」…いつ見ても…楽しいなあ…」
「持ってきてくれた…エイジ20(トゥエンティ)前半…の「肉」は…A4…、資産家の顧客様へ…ご、連絡しないとね……
ただ体躯が細身だから、ササミが多めで…脂身は少ないね…ヘルシー思考な…あの…顧客様の好…みに…合うかも…
こっちの「肉」…はー…?…どうかな?…どうかな?…」
「……何…コレ…」
「ざけてんのか?あ?!うちの「肉」食べてるって言ってたクセに!!
この「肉」!!悪い脂の匂いしかしねえぞ!!こんなもんA2以下の粗悪品…!!
店頭に置けねえな!こんなもん!
うちの商品の「肉」じゃない!!
臓器も汚ねえ脂まみれで使えそうにねえし、捌き損(さばきぞん)も良いとこだ!!
このクズ「肉」が!!」
「…わわわ、は、早く…この良質な「肉」…の傍か…ら離さな…いと…クズ「肉」の悪い脂…の匂いが…良質な「肉」…にうつっちゃう…よお……もう…このクズ「肉」…じゃ…邪魔…」
「邪魔!…邪魔!…邪魔!…邪魔!…(クズ「肉」を切り刻む)」
「ふぅ…よいしょ…っと……このくらい…刻め…ば良い…かな…
…刻んだ…クズ「肉」…はダス…トシュート…に入れてっと……」
-クズ「肉」がゴロゴロと音を立て闇の中へ吸い込まれていく
「…あ、…悪い脂のついた…この包丁も……ダストシュート…行き…だね……クズ「肉」…と同じ包丁は…もちろん…もう使えま…せん…」
「ダストシュートへ…入れ…たゴミは…この地下街…の電力エネルギーや…ガス…になるか…ら無駄じゃ…ないんだ…けど…
うち…いつも…商品の「肉」の在庫…確保が…大変…だから…こ…ういう…無駄って…極力…避けたい…んです…よね…」
「では、気を…取り直…して…良質な「肉」は…この…新しい包丁で……精肉加工…再開、しますよー…
…新調した…包丁は…切れ…味が…最高だね……あはははははははは!!」
「本日は…A4の…脂身…の少ない…良質な「肉」…が入り…ましたよ……それにしても…A5の「肉」……しばらく、入荷…出来て…ま…せんね…」
「…良質な「肉」…の為にも……そろそろ、店主自ら…う、動か…ない…と…行けませんね……」
-完-
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます