なんかこっ恥ずかしいですわね。
「この子が長男坊だね」
「そうです。ユウジっていいます」
目がくりっとしていてシュッとした顔立ち。どちらかと言えば、桃ちゃんよりも宮森ちゃん似であるように思う。
「ユウジ君は何歳になりましたかー?」
目線が合うように下のアスファルトに膝を着けながら聞いてみると、ユウジ君はゆっくりと右手の4本指を立てた。
「ごさい」
「ごさいかー。あっちにいるわたくしの双子ちゃん達とおんなじですねー。ユウタ君、お小遣いは足りてる?」
「新井さん、止めて下さい」
宮森ちゃんがスパッと遮ってきた。
ユウジ君は何となく変なことを聞かれたのが分かって気まずくなったのか、宮森ちゃんの腕を掴みながら彼女の足に絡み付いた。
宮森ちゃんはまとわりつくユウジ君を引っ張るようにして支えながら、かえでともみじの顔を覗き込んだ。
「かえでちゃん、もみじちゃん。私のこと覚えてますか?」
「うん!桃白せんしゅのお嫁さん!」
ノンタイムでかえでがそう答えると、思わず宮森ちゃんは微笑んだ。
「そしてすごいくいしんぼう。前にママのお寿司食べてたー」
もみじが付け足すようにしてそう言い放つと、宮森ちゃんの微笑みに亀裂が入る。
「こら、宮森ちゃん。みのりんの寿司を食うな!」
「違いますよ!あの時、みのりさんは、ラーメンも食べていたのでお腹いっぱいになってしまったということで………」
そう必死に弁解する宮森ちゃんの後ろから現れたのは………。
「やっほー! 思ったより元気そーじゃん!」
「新井さん!新井さん!」
なんと!現れたのはギャル美こと、マイちゃまとポニテちゃんこと、さやかちゃん。
みのりんが呼んでおいたとおっしゃっていましたが、彼女達の姿を見た瞬間、なんとも言えない感情が込み上げてきた。
「あんたの笑い声、こっちまで響いていたわよ。恥ずかしいわね」
「いやー、すまん。すまん。宮森ちゃんがみのりんの寿司を食った話で盛り上がってまして……」
「新井さん、掘り返さないで下さいよ!」
「新井さん!無事に目を覚ましたと聞いた時は、私泣いちゃいましたよ!!本当に良かったですね!!」
「ありがとう、さやちゃん。君のたくましい正捕手姿は素晴らしかったよ!」
「正捕手姿……?何の話ですか?」
「また後で話すよ」
「みんな、そろそろ行こうよ。喉渇いてきた」
「そうだね。試合が始まってしまうな」
「パパ、だっこー!」
「はいはい!」
「あら、もみじちゃんは結構あまえんぼさんみたいね。前はよく私に抱っこをせがんでいたのに」
ギャル美がちょっとにやけながらそう話す。
「そりゃあ、ずっと見守っていたパパさんがいるんですから、甘えたくもなりますよね!かえでちゃん、よかったら私が抱っこしようか?」
歩きながらポニテちゃんがそう申し出たが、同じ年頃の男の子もいるからか、ちょっとはぐらかすようにして首を横に振った。
でも、ちょこんと、ポニテちゃんの手を握る。
どうやら、俺がフリーズしていた間、ギャル美やポニテちゃん達とはずいぶんと仲良くしていたみたいで、双子ちゃん達は楽しげに会話を弾ませている。
俺達はそんな風にして歩きながらスタジアムに入場し、専用のエレベーターを使って、プレミアムエリアに入る。
今日、俺とみのりんが招待したのは、プレミアムスウィートテラス。見渡しのいい、1塁側スタンドのちょっと高いところにあり、8人程度の人数で利用出来る特別な観覧席だ。
プレミアムエリアには専属のシェフとウェイターがいらっしゃって、ある程度の時間制限はあるが、パスタやピザ、中華料理や和食にスイーツと、様々な料理とアルコールが食べ放題、飲み放題。
ネーム入りのユニフォームとキャップ、応援タオルなどのグッズがもらえ、部屋の中の大きなモニターで美味しいご飯を食べながら団らんするもよし。
テラスに出て、お酒を飲みながら生観戦するもよし。
キッズスペースやゴロンと横になれるお座敷スペースもあるので小さなお子さまがいても優雅な野球観戦が約束される。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます