第40話 金貨30億枚のお買い上げです
さて、地下32階層も中盤に差し掛かり、そろそろ溶岩の雨が降ってくる辺りに差し掛かってきた。
前回同様、収納を大きく展開し、その下に潜る形で空中を漂う。
「どうしたんだい?
ダイヤは取りに行かないのかい?」
「今取ってますよ。そろそろ溜まってきたかな」
俺にしか見えないインベントリ画面を見ながら、収集具合を確認する。
「おっ、大丈夫そうだな。
王子、そろそろ帰りましょうか」
「何もしていないじゃないか」
「ええ大丈夫です。帰りましょう」
何か言いたそうな王子は放っといて、とっとと転移する。
転移先はショウコウさんと王様が待つ迎賓館の控え室。
「「おおっーー!!」」
「何度見ても驚くぞ。光の渦が出来るとか何か予告みたいなものは出来んのか」
ショウコウさんに怒られた。
だって、そんなの無駄じゃん。
敵地に出る時は目立つし。
「おお、アダムよ、どうであった?」
「へぇ?ここは?あっ父上!」
「結構な量採れたと思います。
大きさも満足頂けるかと」
「ハヤト殿、結局採らなかったじゃないか」
「ああ、そうでしたね。王子には採取方法を説明してませんでしたね。
転移前に少しの時間浮いていましたでしょ。
あの時に俺達の上に収納魔法を展開してたんです。
上から溶岩の雨が降っていたんですが、あの溶岩を収納しておきました。
あれがダイヤなんです」
俺はインベントリからソフトボール大のダイヤ5つとバレーボール大のダイヤを1つ取り出した。
「はーー、あの時わたし達の上にだけ溶岩が落ちてこないのは、君が結界を展開しているからだとばかり思ってたんだが、収納魔法とは。
収納魔法だと!!
これも伝説に伝わる古代の失われた魔法じゃないか!
だいたい、いくつの魔法を使えるんだ!!
いや、良い。もう頭がおかしくなりそうだ」
いくつの魔法を使えるって言われても…
元々この世界でもレベルが大幅に上がれば、使える魔法だって増えるんだ。
だけど普通はそんなに上がることはあり得ない。
俺だけがプレーヤー仕様だから爆上がりするだけで………
例えばNPCで大賢者と呼ばれる爺さんがいるんだけど、彼の場合ゲームの設定キャラだから、この世界の常識に当てはまらないんだよ。
「と、とにかく、ハヤトよ、ご苦労であったな。
このダイヤはアダムがお前の助けを借りて採ってきたことにしても構わぬか?」
「はい、始めからそのつもりでしたし。
それにこんな大きなダイヤ、どこにも売ることが出来ませんからね」
「そうか、そうじゃな。
よし、王家で買い取ろう。今回の依頼料も含めて、金貨30億枚でどうだじゃ」
そう言って王様は机の上にあるソフトボール大のダイヤを1つだけ手に取った。
「この大きさのダイヤは国宝級だからのぅ。
これが金貨30億じゃ少ないがな、王家の資産とはいえ、元々は市井から集めたものじゃ。
許せ、これが出せる限界なのじゃ」
ええっ、ダイヤ1つで金貨30億枚なの?
日本円にすると約30兆円って考えるととんでもない金額だな。
普通に使いきれんだろ。
「陛下、ありがとうございます。
こちらはアダム王子が採取されたものとして、お納め下さい。
そして、この机の上にある残り全てで金貨30億枚でお願いします」
「「「!!!」」」
「本当にそれで良いのか!」
「はい、必要になれば、また採りに行けますし。
そうだ!あのフロアの採掘権をわたしに頂けませんか」
「………ふむ、それは構わぬ。今はハヤト殿しか採掘出来んしな。
それに、このダイヤを誰でも採れるようになると、儂らも困るからのう。
どうじゃショウコウ?」
「はい、商工ギルドとしては少し惜しい気もしますが、値崩れを防ぐためには仕方のないことです。
ハヤトから仕入れることに致しましょう」
「ありがとうございます。では金貨は商工ギルドに預金させて頂きます」
「ハハハ、それは助かる。上手く運用させてもらうよ。
結果的に王家の資産が、国のために運用できるわけですな」
うん、上手く収まったようで、まずは良かったかな。
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