第22話 冒険者ギルドで報告

ダイヤモンドのダンジョン地下12階層。


ダイヤモンドのダンジョンに入りだしてから、いくらかレベルがアップしている。


それに伴いサーチの範囲も大きく広がっているんだよね。


今は全方向であれば、およそ300メートル、指向性を付ければおよそ600メートルくらいか。


ルビーのダンジョンであればこれだけの探索範囲があれば、各階層の地図くらい簡単に描けたんだけど、ダイヤモンドのダンジョンじゃちょっと無理みたい。


それでも、効率良く歩きながらサーチすれば、このフロアなら小一時間くらいで終わってしまった。


「次は13階層だな。


気を引き締めていかないとな」


12階層ではルビーのラスボスだった三ツ首のマジカルウルフが単独で出てきた。


ここからは未知の世界となってくる。


地下13階層。


このフロアは1時間ちょっとで攻略。


三ツ首のマジカルウルフが群れで襲ってきたりしたけど、今なら余裕で殲滅出来るし。


12階層よりも結構広くなっていたので、時間は掛かったけど、だいたいのパターンは掴めてきたから、思ったよりも早かったなって印象だな。


13階層からはひとつ下の階層も同時にサーチしている。


だから、14階層の地図はだいたい出来ていた。


14階層からは、それの検証と魔物の種類を記録していくのが主な仕事だな。


罠は?って?


罠もあるよ。


爆発系や転移系、巨石が追いかけて来るのもあったし、矢が飛んでくるのもあったよ。


まぁ、サーチは便利だね。


罠も見付けてくれるから、全部避けてる。


一応安全な位置に来てから、罠を発動させて確認はしておいたよ。


地図は正確性が命だからね。


そして14、15、16、17、そして本日の目標であった18階層の地図を描き終えて屋敷に戻ったのは深夜の1時を少しまわっていた。


「お帰りなさいませ」


「た、ただいま」


「本日は遅くまでお疲れ様でございました」


「い、いえそれほどでも…っか、セバスさんにマリーさん、こんな遅くまで待っててくれたのですか?」


「当然でございます。


旦那様のお帰りをお待ちするのも我々の仕事でございますから」


「あ、ありがとう」


「旦那様、お食事とお風呂のご用意が整っております。


どちらを先にされますでしょうか?」


「そうだね、先に食事を頂くよ。


片付けを待ってもらわなきゃならないしね」


「承知致しました。

では食堂へお出で下さいませ」


食堂では、料理人と下働きの女の子が待ってくれていた。


あくびを必死に耐えているのか、顔が耳まで真っ赤だ。


「マリーさん、あの子もう寝かせてあげたいんだけど。


それと明日は休みにしてあげて欲しいな」


「かしこまりました。


もとよりそのつもりでしたので、彼女には伝えておきます」


そんな会話をしていたら、料理が運ばれて来た。


深夜なので肉中心では無く、野菜中心にしてくれたようだ。


有難く頂きます。(合掌)




いつもより遅く起きた翌朝、俺は昨日の探索結果を持って冒険者ギルドへと向かう。


早朝を大きく回ったこの時間帯になると、さすがに冒険者達の姿もまばらである。


先程到着したのであろう護衛依頼を終えた冒険者パーティーが眠そうな顔で受付嬢と話し込んでいるくらいかな。


「あら、ハヤトさん。今日は遅いですね」


「ああ、昨日ダイヤモンドに遅くまでいたからな。今日はその報告だけだよ」


ダイヤモンドと聞いて冒険者達の顔が一斉にこちらを向く。


「それでしたら、ギルマスが直に聞きたいと言ってましたので、上にご案内しますね」


羨望なのか、羨ましいだけなのか、はたまた対抗心を燃やしているのか、様々な面相がこちらを見ている中、俺はギルマスの執務室へと繋がる階段を上っていった。



「やあ、ハヤト、昨日ダイヤモンドに潜ったんだって!それでどこまで行った?」


「ええ、地下18階層まで。地図はこちらです」


「おお、これはまた精緻な地図だな。いつも通り助かるよ。


ところでダイヤモンドに出現する魔物は強力だって言ってたけど、どんなもんだい?」


「12階層でルビーのラスボスだった三ツ首のマジカルウルフが単独で、13階層では複数の群れで出てきました。


14階層以降は、初めて見た魔物が多かったですね。あっそうそう、17階層で初めてドラゴンを見ましたよ」


「地下17階層でドラゴンが出ただと!!」



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