第21話 秘密部屋のダンジョン2
「ちょっと入ってみるかな」
屋敷の隠し部屋の奥に見付けたのはダンジョン。
奥に進むと深い縦穴があり、穴の途中には横穴がいくつも開いていた。
俺はいちど下まで降りた後、1番上に近い横穴の入口にいた。
「さて鬼が出るか蛇が出るか」
いやダンジョンだから鬼(オーガ)は当然出るし、蛇(ソードスネーク)も一般的だしね。
どっちも出るか…
独り言ちにひとりで納得して、横穴を進む。
サーチで探索しても上下には何も見えない。
このフロアに限定して横に探索範囲を広げる。
「うーーん、ダイヤモンドでもルビーでも無いな。」
あの2つのダンジョンなら全ての地図を記憶してるから、違うって分かる。
他の3つのダンジョンも攻略したけど、ゲームモードの時だから詳細には地図を覚えてねぇよ。
また、潜り直して地図を覚えなきゃな。
魔物も出てくることは出てくるが、それほど強くは無いな。
「だいたいサファイアのダンジョンくらいか。」
サーチしながらしばらく進むと、サーチの端っこが真っ黒になった。
「どうやらこの先300メートルくらいで行き止まりみたいだな。
たしかサファイアのダンジョンは複雑な迷路のようになっていたはずだ。
それに比べてこのダンジョンは比較的直線が多い…いや碁盤目状と言った方が正しいか。
全然違うな。やっぱり新しいダンジョンか?」
さらにダンジョン内を進んでいく。
ダンジョン内に巡らされた格子の通路。
その格子の一片は約10メートルであり、通路の幅は広いところで5メートルもある。
「ほとんど通路なのに格子で壁が作られているなんて…
これじゃ死角ばかりで、サーチを使えなきゃ油断も出来ないよ。作為的過ぎる。
本来ならば、碁盤目状の通路は見通しが良い分、出口も見付け易いはずなんだけど、ここは霧も深く、ひとつ向こう側の交差点も見えにくいからな」
俺はサーチで俯瞰的に見れる分、無駄無く進むことが出来るけど、そうでなきゃ交差点毎に緊張するし、どこが出口かも試行錯誤しなきゃならない。
「とりあえず出口まで進むか」
碁盤目状の通路は出口の位置と魔物の居場所さえ分かれば、全く問題無い。
事前に魔物を避けて最短距離を進めばいいだけなのだ。
「サーチのお陰で、あっという間に到着したけど、使えなければ、もっと時間が掛かっただろう」
出口となるトンネルを抜けると、数10メートルで行き止まりになった。
「おかしいな。あれほど作為的に作られた通路の果てが行き止まりなんて考えられない」
サーチ魔法を使って念入りに調べてみる。
やはり向こう側にスペースがあるようなんだけど、よくわからない。
「うーーん、スペースは見えるんだけど、ちょっと霞がかっているのが気になる」
そう、行き止まりになっている壁にサーチを掛けた時になんとなく霞がかっているような気がしたんだ。
「隠ぺいの魔法か何かが掛かってるのかなぁ」
イヤな感覚が拭えない。
とりあえず、今晩は部屋に戻って休むことにしよう。
また日を改めて来ることにした俺は、ダンジョンの入口にあるセーブポイントで、セーブして、寝室へと戻った。
翌朝、朝からダイヤモンドダンジョンへ潜る。
前回までの挑戦で、地下12階層まで進んでいる。
今日の目標は地下18階層だ。
下に行くほど円錐状に広がるこのダンジョンは、今いる地下12階層でも既に結構な広さになっていた。
単純に歩き回っての探索じゃ最低でも1週間くらいは掛かるんじゃないかな。
だってサーチを駆使しても、まだまだ全てを調べられていないのだから。
まぁ、ゆっくりと調べることにするけどね。
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