高校生探偵と親友のお話
パトカーから降りてすぐに、正面玄関のところに鮎が立っていることに気がついた。隣に敷島君もいる――敷島君もいる!?
ああ、でも、そうか。誰かから聞いたんだろう。……鮎じゃなさそう。鮎は敷島くんのサッカー部での活動に水を差すのを、ものすごく嫌がるから。多分クージーあたりから事件の話を聞いて、駆けつけたんだろう。一見クールボーイ風なのに、中身は熱血。あるいは鮎へのBIGLOVE。
やー、でも、やっぱり敷島くんかぁ。そりゃそうだよなあ。
敷島君なら、鮎の隣に、ちゃんと並び立てる。鮎と一緒に、事件を解決へ導くことができる。彼はそういう人だ。
本当は――本当は、私があの場所に立ちたかった。
鮎は高校生探偵で私の一番の友達だけど、高校生探偵だから私の一番の友達というわけではないけど、高校生探偵の鮎の一番近くにいるのが敷島君じゃなくてあたしだったらどんなに嬉しいだろうと、ずっと思っていた。アンヌ王妃じゃなくって、アラミスとして、ダルタニアンの手助けがしたかった。何故って、私は――。
「清乃!」
私がいることに気がついた鮎が、近所中に響き渡るような声で叫んだ。ちょっと、いや、けっこう恥ずかしい。
腕組みをしている敷島君に見送られて、ずんずん近づいてくる鮎を見つめながら、あたしは心の中で呟いた。
――知ってた。その場所に立つのは私じゃない。そんなことはずっと前からわかってた。
「心配したんだからね!!!」
ああもう、鼓膜が破れそう。抱きしめられて、肉がぎゅうぎゅう、骨がミシミシ言ってる。こんなの
涙腺に蓋をして、未練を心の奥にしまい込んで、最高の笑顔を浮かべて言ってやる。私は、言ってやる。
「やだもー、照れるー」
グッバイ・マイ・スウィートフィッシュ mikio@暗黒青春ミステリー書く人 @mikio
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