戦国天神伝・壱の巻2
煎茶とパウンドケーキを用意し、戦国天神伝の執筆の続きに入るとする。
一五〇九年、目玉焼きには醤油派の細川高国を狙い、塩派の細川澄元陣営が淡海乃海(琵琶湖)を渡って如意ヶ嶽(京都市左京区)に布陣。その数は三千人ほど、対して醤油派の細川高国と大内義興の兵力は三万ほどだったそうで、塩派による勿論京都奪還は失敗に終わる。
だが、醤油派も一人の人物が京都から逃げ出しており一息はつけない。その人物とは将軍職を追いやられた足利義澄である。
ここで、陣営の整理をしておこうか。
まず、ソース派である細川澄之は既に死亡しておりもう歴史にかかわらない。なんなら政権維持期間は四十日である。諸行無常。
つまり、京の主導権を握るのは二陣営になっている。塩派の澄元と醤油派の高国だ。
一五〇九年時点で劣勢である塩派閥の澄元陣営は三好之長・山中為俊・高畠長信・忠阿弥・赤沢長経など、三好以外はピンとこない武将が多い。
一方の醤油派、高国軍は主戦力に大内義興。もうこの時点で戦力差がひどい。一五〇九年時点で上から数えたほうが早いほどの戦力を保持している大名だ。それに加えて讃岐の香川・香西・安富の氏族が澄元を裏切って高国派についている。
要約すると澄元陣営は真綿で首を絞められながら足元で火をつけられてるってことだな。冗談でもなく、ここで死んで火葬されてくれればマシだったのだが、なまじ頑張ってしまったせいで戦果は拡大。深井城の戦い、芦屋河原の戦い、船岡山の戦い、田中城の戦い、越水城の戦い、そして一五二〇年の等持院の戦いと続いていき、最後には醤油派の高国軍を近江の六角家・京極家、丹波の内藤貞正が支援して勝利。
この戦が決定的となり、三好之長、甥の三好長久、息子の芥川長光や三好長則に加えて病身だった細川澄元も死亡してしまい、塩派閥はほぼ壊滅してしまった。
そうして、一旦は落ち着いた京の町の勢力争いだったが、一五二六年に細川高国の従弟であり丹波守護の細川尹賢の讒言により、細川高国が香西元盛を謀殺する事件が発生する。頭ファンタジーだからつけあがったのであろうが、この事件により香西元盛の兄弟の波多野元清・柳本賢治が阿波にいた細川晴元(澄元の息子)・三好元長(三好家トップ)と連携して丹波で挙兵。そう、塩派の復活である。この時点で一五二七年の二月である。
塩派連合軍は抑えに来た細川尹賢軍をブチのめして丹波を平定、返す刀で京に侵攻をして醤油派の高国・尹賢軍と戦った。結果は醤油派の負け、ケツをまくって近江に逃げて京の主導権はまた移ることに。
そして、同年の十月、醤油派は大きくなって帰ってきた。旗頭の細川高国と足利義晴は、朝倉家の最強兵器・朝倉宗滴、近江の六角定頼と言う戦国チート二枚札を両手に掲げての上洛。迎え撃つ塩派閥は畠山義堯・柳本賢治・三好元長。微妙に頼りない面子である。
案の定、塩派は壊滅的な敗北をして遁走し醤油派が台頭するかと思いきや。しかし、醤油派の中身は和睦もまともにできないほどのグチャグチャ具合だったらしく、主力の宗滴たち朝倉勢が途中で帰還、もちろん和睦は失敗。高国と義晴は近江に帰っていった。
と、いうのが京の話。つまり、六角家は今、高国と義晴を抱える爆薬庫なわけだ。俺がのうのうと六角と繋がりを持ったら力を貸せというに違いない。特に高国のほうは頭が足りてないようだからな。
そんなわけで、六角には絶対近づかないこと。一五三二年には決着がつくらしいからね。織田の領地でのんびりしようや。
ちなみに、塩派閥の柳本というのが志能便の隠れ里を荒らした奴らだ。
うちの子たちを泣かした礼はいつかしないといけないな。戦国天神伝に付箋はっとこ。柳本殺す、と。
戦国天神伝の一冊目が残り三ページほどになったので、ここで書き留めるのをやめておく。また、別のことを書くことになれば新しいノートを使う。あまりのページは補遺用にとっておこう。
まとめ終わった戦国天神伝を俺の部屋の本棚に収納し、居間でテレビを見ながら一服しているとスマホに電話がかかってきた。着信欄には爺の名前がある。やっとか、スマホの画面をスライドして受話する。
『おう、換金できたぜ。相手もこんなに中途半端な金をどこからって驚いてたよ』
「ありがとう。金は取りに行けばいい?」
『ああ、気をつけて来いよ。額が額だ、命を狙われてもおかしくねぇ』
「あいよ」
大金が手に入る。これであっちの時代でも遊んで暮らせるはずだ。織田家が目玉焼きに何をかけるかによるけど。
信秀は塩かな? 醤油かな? それとも――――
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