あの日見た奇跡は永遠

私自身スポーツが苦手なのでスポーツ物は基本的に読むことがないですし、作中に競技シーンが出てくると流し読みするタイプですが、この作品は読まず嫌いや雰囲気を掴むだけの流し読みなんてもったいない！ じっくり読むことを強くオススメします。

架空のものではありますがスポーツが題材ということで、文章のリズムがとてもいいです。おかげでスポーツに関するシーンの躍動感がよく感じられます。映像を見ているような気分に浸れました。

主人公の兎羽は知識のない状態でたまたまリンドブルムの歴史的試合を見て一気にその虜になるのですが、幼い子供らしい心情の変化が愛らしい。リンドブルムの知識がないのは読者も同じなので、兎羽が一気に夢中になる様に自分の感情が重なりました。こんな綺麗なものを目にしたら、私も一瞬でリンドブルム沼にハマったかもしれません。

快活さが光る高校生になった兎羽はもちろん応援したくなるのですが、個人的に気になるのは直美です。近未来のスポーツをするにあたって避けられない病を抱えてしまった彼女を、めちゃくちゃ応援したくなりました。