第50話 入学式②

俺たちはお互いの顔を離し前を向く。


「みんな見守ってくれてありがとう。俺たちの恋は成就した。後は親友の恋を高みの見物するだけだ。俺より派手な告白を期待する!」


笑いが起こる。


秋也は口をあんぐりと開けて首を振っている。


「俺は生涯独身だと思っていたが真実の愛に出会ったと確信している。どんな人間にも番となるべき相手がいるらしい。皆んなにも是非真実の愛を探して貰いたい!出会いを大切にな。以上!新入生代表白銀颯。」


俺は白雪の手を取り拍手喝采の中降壇する。



「えー。では在校生代表。小鳥遊飛鳥さん。」


「はい。」


彼女は徐に出した定型分であろう紙を破く。

「白銀君素晴らしいスピーチ有難う。二年ぶりの再会だというのにあなたのせいで予定が狂いました。」

笑いが起こる。

笑いが静まるまで待って彼女は話し出す。


「彼が入学するまで確かにこの学校にはイジメがありました。私もイジメられていた一人です。彼はイジメられていた生徒一人一人に寄り添って今ではこの学園を守る守護者と言われています。アンケートを取った結果在校生の八割が彼を支持しています。これは一貫で上がってきた生徒全員を意味しています。この場にお集まりの新入生の中で彼を支持するものは拍手をお願いします。」


割れんばかりの拍手が巻き起こる。

気恥ずかしいが行動の結果であれば嬉しい限りだ。


彼女は片手を上げて拍手を制する。


「愛されてますね。白銀君。私たち在校生は概ね白銀颯を見守る会に入っておりますが今日からは白銀颯と柊白雪を見守る会に名前を変更しようと思います。以上。在校生代表小鳥遊飛鳥。」


拍手と共に彼女は降壇する。


いや待て!俺その会の存在知らんのだが!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る