第49話 入学式①
校長先生の話はだいぶ長くて眠くなる。
秋也は完全に寝てるな。白雪は綺麗な姿勢で聞いてる。偉いな。
「それでは新入生代表白銀颯君。」
「はい。」
壇上に登りマイクを置き。書いてあった定型文を破り捨てる。
マイクのハウリングで寝てるやつを叩き起こす。それではいこうか。
「一貫で上がってきたやつは知っているだろう。白銀颯だ。俺は定型文を読まない型破りな男だ。このまま聞いてほしい。」
会場が静まり返るまで待つ。寝ている奴はいない。
「この高校に今イジメがない事は知っているだろう。それは俺が中1の時にやった改革を先輩方が忘れていないからだ。改心しなかった83名の生徒と親は白銀グループに締め上げられ既に日本にはいない。俺は高校卒業までこの政策を辞める気はない。学校は小さな社会の縮図だと言われているが小さい箱の中でイジメなどという不毛な事に時間を割く無能は要らない!外部生は良く覚えておけ。生徒一人一人が俺の目だ。イジメは隠せない。必ず俺の元に情報が来る。イジメを行った生徒には高跳びか針の筵を選んでもらう!以上だ。」
拍手が巻き起こる。それが静まるまで待つ。
「この場を借りてもう一つみんなに報告がある。先程の放送の件だ。柊白雪さん。壇上に上がってきてくれ。」
「はい。」
凛としてる。流石大企業の娘だな。
「俺は彼女と婚約した。将来的には結婚するつもりだ。今日みんなに報告したのはこの件が明日の新聞の一面で載ることになっているからだ。高校生で同棲が世間に出たらと思って心配している方もどうか安心してほしい。これは大企業故の特殊性というやつだ。俺たちの両親も記者会見を行う。そしてこの映像も明日テレビに流れる。」
俺はポケットから昨日届いた指輪を取り出す。
「柊白雪さん。愛を信じられない男でしたがあなたの愛で絆されました。俺と結婚を前提に婚約していただけますか?」
俺は真っ直ぐに彼女を見据える。
潤んだ瞳で微笑みを湛える姿はいつかの再現のようで
「はい!不束者ですが末長く宜しくお願いします!」
指輪をお互いに交換しあった俺たちは見つめ合う。
「白雪。君を愛している。」
「颯君。私もあなたを愛しています。」
そして俺たちは初めてのキスをする。
その瞬間割れんばかりの拍手が会場を埋め尽くした。
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