第38話 バスケの結果と労い

10本先取の1on1は8体10で俺の負けだった。

秋也の本気は引き出したし彼にとってはいい練習になっただろう。

というか普通に勝てるわけがない。彼はバスケ部で俺は帰宅部だし善戦するだけ褒めてほしい。転生前の颯の記憶の中にあるプレーは全て出し切ったし納得してもらうほかない。

それにしてもこの体のスペックはおかしい。本は一回読んだだけで暗記できるしスポーツは無意識に体が動く。

改めて自分のチートぶりに驚愕するが本来はお助けキャラであまり表には出ないキャラだから許して欲しい。

高校でも帰宅部を貫いて大人しくしようと思う。

部活の入ったらパワーバランスが崩壊する恐れがあるし。


「やっぱお前との1on1は格別だな!」

こいつはまだ余力がありそうだ。こっちは限界なのに。


「そうか。ここでなら仕事の時間以外でいつでも相手になるよ。」


疲れ切った顔でそう告げると親友はにかっと笑う。


「二人ともお疲れ様!」

「お疲れ様です。」


二人が駆け寄ってくる。

負けた手前恥ずかしく目線を逸らすが白雪はそんな俺にタオルを差し出す。

「颯君。凄くかっこよかったです!」


「ありがとう。次は勝った姿を見せられるように頑張るよ。」

そう声をかけると彼女は一瞬驚いた様に目を開き微笑みを湛えて首を横に振る。


「私は勝ち負けに興味がありません。プレーしている姿を見れれば満足です。」


「そっか。でも君には常にかっこつけたいからいつかは勝った姿を見せるよ。」


「ではその時は何かご褒美を用意しなくちゃですね。」


そう言ってくれた彼女の微笑みがあまりに美しく見惚れてしまうのだった。


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