第33話 ラオンにて
白雪と手を繋ぎながら待ち合わせ場所へと向かう。
少し恥ずかしいがおずおずと差し出された手を握り返すくらいの甲斐性は俺にもある。
「〜♪」
隣りで上機嫌に微笑む彼女の笑顔で羞恥心を追いやることにした。
顔を上げると待ち合わせ場所で談笑している2人が目に入った。
向こうもこちらに気づいたようで手を振ってきたから俺も空いてる方の手を上げる。
「はよ。颯、柊さん」
「はよ。秋也、有原さん。待たせちゃったかな?」
「おはようございます。中原さん、香織。お待たせしてごめんなさいね。」
「おはようございます!白銀くん、白雪ちゃん!秋也くんとお話ししてたので全然気にしなくていいですよ!」
おっ名前呼びになってる。わざと時間ギリギリに来たのは正解だったらしい。少しは進展してるみたいで安心した。
「じゃあ早速中に行こうぜ!まずバッシュを買うのに付き合ってもらって良いかな?」
「あぁ。俺もお前の練習に付き合う時に使ってるやつがボロボロだから新調するよ。」
「おっ貧乏性のお前が買い替えとは珍しいなぁ。」
「うるさい。ボロボロのバッシュでプレイしてる姿を白雪に見せたく無いし、少しでもカッコいいところを見せたいだけだ。」
「へぇ・・・」
ニヤニヤと笑う秋也を見て現状を思い出す。
今俺は白雪と手を繋いでいるから会話は筒抜けだろう。
恥ずかしくてそちらは向けないが手を握られる力は先ほどより強く感じて気恥ずかしい。
「お前の変化が俺は嬉しいよ。」
そう言ってニカっと笑う親友に俺は苦笑いを返すしかなかった。
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