第32話 新居の朝

ピピピ


頭の上でアラームが鳴り目が覚める。

見慣れない天井に引っ越したことを思い出した。

時刻は朝の8時。

約束の時間まではあと2時間ある。


リビングに降りると朝の陽光に照らされながらソファで本を読む白雪が見えた。


(綺麗だ・・・)


思わずそう思った。

彼女は俺に気付き本を閉じると微笑を湛える。

「おはようございます。颯君。」

「おはよう。白雪。朝早いんだね。」

「颯君に早く会いたくて寝てるのが勿体無いなって思ったら起きちゃいました。」


その照れ笑いが胸を打つ。思わず見惚れてしまう。この子との一瞬一瞬を大事にしたいと思う。


「颯君。朝はパン派ですか?ご飯派ですか?」


「どっち派とかは無いかな。白雪は?」


「そうなんですね。私はパン派です。」


「じゃあ俺も今日からパン派になるよ。」


その言葉を聞いた白雪は嬉しそうに微笑んで


「では我が家は朝はパンにしましょう。今朝はフレンチトーストを作りますね!」


と声を弾ませて言った。

可愛いなぁと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る