第14話 後日の約束

「めっちゃ良かったな!」


映画の後流れるように入ったカフェの中、秋也が興奮しながら話し出した。

目が真っ赤である。泣いたのであろう。分かりやすいやつだ。


「感動しました!」


「思わず泣いてしまいましたね。」


二人も楽しんだようで映画を提案したのは間違いではなかったようで安堵する。

うんうんと一人で頷いてると有原さんが口を開く。


「今日はお二人と遊べて楽しかったです!今後も四人でこうやって遊びませんか?」


「俺はいいけど颯は忙しいだろ?最近はどうなの?」


秋也は俺が仕事をしていることを知っているためこの質問なのだろうが俺はまた内心焦っていた。

この展開も原作にはない。だが嘘をつく理由もないので答える。


「秋也にも黙っていたが俺は春休み中に一人暮らしを始めるために引っ越すから忙しいんだ。入学してからなら大丈夫だ。」


「まじか!そんな話聞いてないぞ!」


「サプライズだ。引っ越してから話す予定だった。家にいては自立も出来ないからな。俺の願望を詰め込んだマイハウスだよ。今度泊まりに来ると良い。仕事部屋、ゲーム部屋、風呂は満足のいく出来だからな。」


「マジかよ・・・。絶対行くわ!必ず呼んでくれよ!」


「あぁ。だから春休みの間に遊ぶときは3人で遊んでくれ。」


正直あまり間に入りたくないのだ。

とりあえず今の状況をまとめつつ、今後のことを考えたいとも思っている。


「あの!私たちも家に遊びに行ってもいいですか!?」


有原さんからの予想外の言葉に驚いてしまう。

原作でも白銀は一人暮らしをしていたがヒロイン二人が家に来たことなどない。

だがここで拒否など出来ようもない。


「男の一人暮らしだから君たちのご両親の許可があればいいよ。」


無難にこう答えるしか無かった。

もう原作からはズレている。ならばズレてはいても元の方向には持っていきたい。

それが今の俺に出来ることだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る