第13話 カップルシートにて
「柊さん。君は秋也の隣じゃなくていいのかい?」
小声で聞いてみる。距離が近いし隣の二人には聞こえていないだろう。
端っこに座るはずが、なぜか柊さんが端に座っている。
「構いません。香織は中原君が気になるようですし他意はありません。」
意外な返答だった。俺が書いた小説内容では彼女も秋也に一目惚れするはずなのだ。既に小説とはズレてしまったのだろうか・・・
困ったなぁ。これでは三角関係が始まらない。
(それに私が気になっているのは貴方ですから・・・)
考え事をしていた俺には彼女の小さな呟きを拾う余裕はなく映画が始まると同時にそっちに意識を持っていかれるのだった。
映画は思ったより面白い内容だった。
遂に二人の思いが通じ合い付き合い始めるシーンは正直グッと来た。
それは隣の柊さんも同じだったらしくハンカチで目元を抑えながら泣いている様だった。
あんまりジロジロ見ては失礼だと思い目線を逸らすと何故か手を握られてしまった。
振り払うわけにもいかずそこからの映画の内容は緊張から何も頭に入って来なかったのだった。
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