第9話 ヒロインたちと行動
「そういえば自己紹介がまだでしたね!私は有原香織です!宜しくね!」
「私は柊白雪です。仲良くして頂けると幸いです。」
「俺は白銀颯。宜しく。」
俺は手短に挨拶をすませ秋也に丸投げする。
そんな俺を見て苦笑しながら話始める。
「俺はさっきも言ったけど中原秋也。宜しくね。とりあえず昼飯ってことで希望はあるかな?」
「私パスタが食べたいです!」
有原が元気に返事する。こういう自分の意見を言える子は偉い。助かる。
「俺は何でもいいよ。柊さんは?」
とりあえず柊さんにも振ってみた。
「私は何でも構いません。」
「じゃあパスタにしようか。」
そんな感じでパスタの店に向かっている道中さりげなく後ろに下がり後ろから三人を眺めることにした。うん。お似合いの3人組だ。眼福だね。
そんなことを考えていたら、なぜか柊さんが俺の横まで下がってきた。
こんな展開は記載した覚えがない。何か用があるのだろうか。
「白銀さんは白銀グループの一人息子で間違いありませんか?大企業の一人息子は生き辛くありませんか・・・?」
何かと思えばそんな話か・・・。
「そうだな。そう思っていた時期はあった。でも実は俺はもう一社任されていてね。その実績からあまり親から縛られていないんだ。結婚相手も自由に決めていいって言われているし親父との関係は良好だよ。」
そう。この時点で白銀颯は新規事業として手を出していたゲーム会社の社長を親の名前をかりて陰ながら行っていた。見事に成功させて自分でもプログラマーとして活躍しているのである。そのおかげでお見合い結婚を回避し最早結婚する気が皆無だった。
柊さんは驚いた表情をして目を見開いてこちらを見ていたがおずおずと話しだした。
「白銀さんは凄いんですね・・・。あの・・・私も自分の力を発揮したいのです。手伝っていただけませんか?」
今度はこちらが驚く番だった。この子がこのセリフを言うのは高校2年生後半だ。それも秋也に対してだ。
やばいミスったかもしれない・・・。でもここで断るのはおかしいだろう。
まだこの先どうとでもなる。
ある程度の距離をとりつつ物語をとりあえず始める。そうすれば勝手に戻るだろう。
予想のできない方向に転がることだけは避けたい。
出来うる限り知っている展開を眺めたい。
どうせ白銀颯を好きになる物好きなどいないのだ。この男を支えられる人間など同じ境遇の人間しかいないのだから。そしてその唯一の相手が好きになるのは主人公だ。
そして恋愛に興味がない颯は白雪にアプローチなどしない。
「俺で協力できることがあれば喜んで協力させてもらうよ。」
俺本人は本の虫だ。
恋愛経験もないのでどうすれば距離を取れるかはわからない。
冷や汗ものではあるが何とかそう答えてパスタ店の前で待つ二人に追いつくのだった。
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