第15話 告白
それは誰から聞いたでもなく、まさに風の噂で僕の耳に届いた。
アマミさんが野球部の高谷くんに告白された。
学年トップクラスの愛嬌とルックスを持つアマミさんと1年生ながらスタメンを勝ち取りファンが存在するレベルの魅力を持った高谷くん。
正直言って…お似合いだと思う。
でも、もしも2人が付き合ったら…今までみたいにはいられないんだろうか?
そう考えるだけで、ズキンと胸が痛んだ。
そんなの嫌だ。…でも、終わるとしたら何となくじゃなくて、ちゃんとそう言ってもらいたい。
僕はアマミさんを呼び出すことにした。
・・・・・・
「どうしたのケーキ君?」
「えっと…風の噂で、アマミさんが野球部の高谷くんに告白られたって聞いて…」
「そうなんだよねぇ〜急に呼び出されたと思ったら『俺がマラソンで1位になったら付き合ってくれ』って」
「そ、そうなんだね…ア、アマミさんは告白OKしたんですか?」
するとアマミさんは目を伏せて言った。
「いや〜断ろうとしたんだけど…周りに観客が多すぎて断れなかったよ」
「で、でも!仮に付き合うようになったとしても絶縁とかはないからさ!」
そう振る舞うアマミさんの手は…震えていた。
「アマミさんは…それでいいんですか?」
「えっ?まぁ…それは、その…」
「分かりました。それなら質問を変えます」
「もしも僕がマラソンで1位になったら、アマミさんはどう感じますか?」
「えっ…それって……」
「頷くだけで大丈夫です」
するとアマミさんは少し時間を置いて小さく頷いた。
「分かりました。それなら僕は全身全霊でマラソンに臨みます」
アマミさんは優しい人だ。だから今回の件も断れなかったし、素直に高谷くんに負けてほしいとも言えなかった。
いや、負けたときの高谷くんの気持ちを考えて言葉にしなかったんだ。
だから僕がマラソンで1位になってアマミさんの望む結末を作る。
「でも、このままじゃ到底高谷くんには敵わない。だから星谷さん」
「運動会当日まで、僕のサポートをして欲しいんです!」
料理上手の僕と食べる専の星谷さん 神在月 @kamiarizuki10
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