第4話

 天使は光の状態でも地上を見ることができる。

 その状態なら、写真に写ることもたまに許される。


 写真を撮る人との相性で写れる。

 少女と天使の相性は良さそうだったので、少女がスマホで写真を撮るとき、こっそりと写ってみた。


 ちょっとした風景。

 夕焼け空に飛行機雲が走った時、少女は空を写真に撮った。


 点々と写る虹色のオーブ。

 気づくと天使の他にも別の天使たちが嬉しそうに写っていた。


「なんか、すごくきれいなんだけど……」

 少女は思っていた以上にファンタジーな写真に驚いて、そしてそれを大切にした。

 待ち受けにしているのを見て、天使はうれしかった。


 それにしても、通りかかっただけのはずの天使たちが、少女の写真に写っているのを見て、天使はちょっとだけむっとした。


(私が先に少女を見つけたのに)

 ちょっとだけそう思って、すぐにどうでもよくなった。


 他の天使たちもどうでもよくなっていた。

 ただ、少女が楽しそうにシャッターを押すのを見て、ついでに天使が写真に写っているのを見て、自分も入ってみようと思っただけだった。


 ただの偶然が重なっただけの写真。



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